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英文契約書の関係代名詞(その3)


前回の「前置詞+関係代名詞」についての補足です。契約書の翻訳にかぎらず、例えば、「on which」,「in which」、「at which」などが場所を表す場合、「where」を使うことで代用できます。このときの「where」は、関係副詞と呼ばれるもので、文法の授業で出てきた記憶があるかもしれません。

特に、日本語から英語に翻訳する場合、前後の文脈だけで、その場所の状態を判断し、使う用語を確定する必要があります。そのとき「前置詞+関係代名詞」を使う必要がある場合、例えば「on which」,「in which」、「at which」のいずれを使うのか、慣れないうちは、一瞬とまどうこともあります(とくに原文があいまいな場合や状況が文脈だけではわかりにくい時など)。そこで活躍するのが、「where」です。

1.  関係副詞「where」の成り立ち

文法的な内容にはあまり触れませんが、一応、関係副詞「where」の成り立ちについて「in which」を例にとってみてみます。

This is the city + I was born in this city

This is the city in which I was born.

This is the city where I was born.

*基本的には、「前置詞+関係代名詞」に関係副詞「where」を使えるのは、それが場所を表す場合です。

「on which」の場合については、

There is a beautiful lawn. + Many flowerpots are placed on the lawn.

There is a beautiful lawn on which many flowerpots are placed.

→There is a beautiful lawn where many flowerpots are placed.

なを、ここで取り上げた「on which」、「in which」、「at which」については、例えば、時間を表す文章と合体させる場合は、当然、場所を表す「where」は使えません。

なを、「前置詞+関係代名詞」が「時」表す場合については、別の機会に見てみます。

2. 英文契約書での場所を表す「where」の使い方の例

The Buyer shall be entitled to visit the places in which the Products are manufactured and stored.(買主は、製品が製造され、保管されている場所を訪問する権利が与えられている)

この文章は、whereを使うと以下のようになります。

→The Buyer shall be entitled to visit the places where the Products are manufactured and stored.

この文章は、分けると以下のようになります。

The Buyer shall be entitled to visit the places. The Products are manufactured and stored in the places.

以下、同様に、

The seller shall designate the bank account in which the fee is paid.(売主は、手数料が支払われる銀行口座を指定する)

→The seller shall designate the bank account where the fee is paid.

The entrustor shall designate the place in which the Project is performed.(委託者は、プロジェクトが実施される場所を指定する)

→The entrustor shall designate the place where the Project is performed.

本来の趣旨とは違いますが、「on which」が場所を表す場合の適当な例が思い浮かばないので、とりあえず時間を表す例文にしてみました。

The board of directors shall record the date on which the name of each Shareholder was entered in the register of members. (取締役会は、各株主の氏名が会員登録簿に記載された日付を記録する)

このブログは、前回の「前置詞+関係代名詞」について補足です。

なを、「at which」については、別の機会にします(経験的には契約書ではあまり目にすることがなく、どちらかというと技術文書でよくみかけます。)

参考図書:

ランダムハウス英和大辞典(小学館)

カレッジライトハウス和英辞典(研究社)

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