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海のミルク

牡蠣があまり得意ではない。たまに食べるカキフライは美味しいと思うが、同じ揚げ物なら迷わずカニクリームコロッケを選ぶ。一口目をかじる時、それを口の中で咀嚼する時、二つに分かれてグチャグチャになる牡蠣の姿を想像してしまう。

貝類は基本的にグロい。ホタテのオレンジ色と緑色の部分は本当に食べて大丈夫なのか。緑色の部分は食べていい説と食べない方がいい説があるようだ。つまり除去されずに食卓に上がる可能性があり、最終判断は食べる側がしろということである。じゃあ、全部いらないです。

ホタテは部位が明確だからまだ良い。牡蠣はプリっとした謎のヴェールに包まれている。包まれすぎている。怖いもの見たさで齧った断面を見てみると、黒いペースト状の何かが見えてますわよ?これ大丈夫ですの?ってなる。

栄養が豊富なことから「海のミルク」と呼ばれたりもする。言うまでもないが海もミルクも液体である。一体どういうセンスなんだ。海の中ではおしっこしても構わない理論を思い出す。ん?……母なる海に白いミルクって、お前それ何の暗喩だよ!

鮮度とか産地にこだわった本当に美味しい牡蠣を一度でも味わってみたら、グロさを乗り越えて食べたいと思えるようになるのだろうか。