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スキの代価

↑前回のつづき。テーマ「魂を売る人たち」第9回。

自分の声などあってもなくても変わりはしないだろうが、それでも輝かない星には惜しみなく声援を送ることができる。たとえ無力だとわかっていても、何もしないまま星が消えればきっと後悔するからだ。

しかし、売れているならその心配も不要だろう。もともと自分が推しに貢献しているとは思っていないが、応援するのもタダではない。お金の話ではなく、人はただ何かを好きでいるだけで命を削っている。

SNSを始めたての頃、気に入った人たちを自分の意思でフォローするからにはすべての投稿を読みたいと思っていた。すぐに無茶だと気付いたが、今でもまだ完全には割り切れていない。

指の隙間から絶え間なく星の欠片がこぼれ落ちていく。すべてを受け止めるには時間が足りない。スキを享受するには人間の一生は短すぎる。

他の誰かが受け止めてくれることは自分にとっての救いでもある。勝手に担
っていたとはいえ、肩の荷を下ろせるのだ。もちろん、そのまま推し続けてもいいが、輝き始めた星よりも、まだ輝いていない星を応援したい。

時間は限られている。有限である以上、魂の売り方は慎重に考えなければならない。好きでいる以外にも輝かない星を応援する方法はある。

つづく