見出し画像

スカパーがそっと寄り添ってくれた

昔、私の実家のテレビは、3チャンネルしか映らなかった。
NHK総合、NHK教育、日テレ系列の準局。

嘘のようなホントの話である。

生まれたときから当たり前にそれだったので、特に疑問に思わなかった。
12個もチャンネルボタンがあるくせに、ポンコツだなとは思っていた。

でも、小学生のときに知った。友達の話によると、どうやら他のお家では、12チャンネルとは言わないものの8チャンネルぐらいは映るらしい。

高学年にもなってくると、同級生の間では昨日見た人気アイドルが出演しているドラマの話で持ちきりだ。
でも、そんな話題にはほとんどついていくことはできなかった。だって、ほとんど映らないんだもん。子供ながら、とても寂しかったのを覚えている。

中学生だったある日、そんな子供の事情を察してか、自分が興味あったのかは分からないけど、新しいもの好きの父がパーフェクTV(スカパーの前身)なるものを契約した。

当時は、もちろんサブスクなんて言葉すらなかった。今考えると、スカパーはサブスクの大先駆者だ。

何か強そうなワクワクするネーミングと、無限のごとくチャンネル数があったスカパーは、3チャンネルしか映らなかった我が家にとって、夢みたいな画期的なコンテンツだった。

当時、私が、スカパーでよく観ていた番組は、スペースシャワーTVという音楽番組である。

地上波3チャンネルしか映らなければ、もちろん音楽情報も限られる。
それが、スペースシャワーTVを観れば、最新のJPOPや洋楽のトレンドがすぐ分かる。音楽情報だけは、誰にも取り残されることはなかった。

一度、中学の同級生の何人かで隣町のカラオケまで連れ立って行ったことがある。(とにかく田舎なのだ)人生初めての友達とのカラオケだった。
そこで、the brilliant greenの「There will be love there -愛のある場所-」を歌ったのはいい思い出。
人前で何か表現するのが大の苦手な私も、カラオケだけは割と平気だった。

音楽というものが、当たり前のように私の人生の傍らにあるのは、スカパーがあったからだと思う。

それから時が経ち、大学進学で他県に引っ越しした私は、3チャンネル+スカパー生活に別れを告げた。


そして、現在、あらゆる動画配信サービスで溢れ、自分の好きなコンテンツを手軽にどこでも見れる時代。

私は、スカパーを契約し、あるジャンルの番組をブルーレイディスクに録画して嗜んでいる。


それは、フィギュアスケートである。


今、間違いなくフィギュアスケートに関する番組を一番豊富に扱っているのはスカパーである。

試合やショーだけでなく、過去の色んな選手の名演技の紹介だったり、フィギュアスケートを深掘りする番組だったり、コアなコンテンツを放送してくれている。

今、試合ですら、圧倒的に地上波では放送が少ないし、(そもそも最近は地方では放送もされない)他の動画配信などでも、試合やアイスショーを見れる機会はあるものの、録画は出来ない。
好きな番組を録画してディスクに落とし、自分だけのオリジナル円盤を作りたいのが、昭和生まれのオタク心なのだ。

そんなオタク心を今叶えてくれているのは、スカパーなのである。

思えば、スカパーは昔から、そうやって私の人生にそっと寄り添い続けてくれている。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集