駆け出し百人一首(10)光あらむ玉の男子見てしがな掻き撫でつつも生ほしたつべき(相模)
光(ひかり)あらむ玉(たま)の男子(をのこご)見(み)てしがな掻(か)き撫(な)でつつも生(お)ほしたつべき
相模集 (雑)
訳: 輝くような玉の男の子を、我が子として見たいものだなぁ。慈しんで撫でながら育て上げるに違いない子を。
Hakone Gongen Shrine, give me a shining boy, whom I will treat with love.
相模は今でいう「不妊」で悩んでいたようです。この歌にもずばり、「子をねがふ」という詞書が付いています。不妊治療に臨む今日の人と同じように、切実に祈り、願っていたのでしょう。
相模の名は、大江公資(きみより)が相模守だった時期に妻だったことから。その任期中、箱根権現に百首歌を奉納し、子宝を願いましたが、叶わず、公資とも程なくして破局してしまったようです。
文法事項
光あらむ:「む」は名詞につながっており、連体形。文中の連体形の場合は「婉曲」。
見てしがな:「連用形+てしがな」「連用形+にしがな」は、詠嘆を込めた自分の願望で「〜たいなぁ」と訳す。
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