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西武新宿線午前4時

初出:はてなブログ 2019年1月12日公開

わたしのほぼ唯一の詩である。詩作に覚えがある人からすると噴飯ものの出来であろうが、思い入れはあるのでnoteにサルベージしておく。

着想源は前年の夏に宿泊した、友人のnai_inhexのアパートである。2019年当時、彼は西部池袋線沿線に住んでいたのを、一応個人情報に配慮して西武新宿線とした。
nai_inhexについて知らない人は、はてなブログの過去記事を読んでほしい。

https://www.infernalbunny.com/entry/2021/12/09/203812

そのアパートは、23区内にしてなんと家賃月1万7000円だった。23区内最安値に近かっただろう。木造の二階建てで、辛うじて屋根があるだけの廃屋だった。窓はなかった。ないことはなかったが、共用トイレのそれも部屋のそれも割れたり歪んだりしていて、ほとんど用を成していなかった。当然エアコンはなく、nai_inhexとわたしともう一人の友達の3人で、窓を開けて、板張りの床に寝転がりながら8月の深夜を過ごした。3人で抱き合い、何度も口づけあった。部屋に家具や趣味の品らしきものは何もなかった。辛うじて聖書とドイツ名詞選が転がっており、わたしが見よう見まねでツェランを朗読した。

そんな思い出の話である。


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ブログやSNSには適さないパーソナルなこと、大胆に踏み込んだことや逆に抽象的すぎること、まだまとまっ…

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