恨み嫉みヒガミがモチベーション
この間、学生の方にライターという仕事について話すという機会をいただいたのだが、仕事の一番のモチベーションはなんですか、と質問にグッと戸惑ってしまった。
目の前には、これから社会に羽ばたくぞという希望溢れる若く手力強いキラキラした眼差し。まっ、眩しい……!私は思わずこう言った。
「褒められること、そして、読んで笑って元気になってくれる人がいると、やっぱり嬉しいですね」。
そして心の中で即効で謝った。
申し訳ないッ。ウソではない。それも本当なのだが、一番のモチベーションは
「くっそー今まで私を笑ったやつ、バカにしたやつ全員見とけや―ッ」
という恨みツラミ復讐心である。
以前、こんなことがあった。猛暑の中の営業。汗ダラダラ、服ベトベト、喉カラカラ。もう一歩も歩けない、というくらいにヘロヘロになりながら、とある編プロに企画を見せに行ったのだ。ところがお前はドラマの悪役かぃというくらい、わかりやすく態度の悪い担当が出てきて上から下までジロジロ見られた挙句、半笑いで
「企画って言われても、こんなどこにでもあるもの……ねえ。うちの企画見せましょうか。このくらい練ったのを出してもらわないと」
と、ドヤ顔で持ってきた。んまあその企画がまた
「そんな自慢するようなもんかい!」
というような薄っぺらい、そりゃもう薄っぺらい内容だった! 私はハニワ顔とうなずきマーチを交合に繰り出してどうにか暴れるのを留まり、
「では、失礼します」
とその編プロを出たが。ビルを出た途端、怒りが!怒りがさきほどまでのヘロヘロをぶっ飛ばして体中にパワーが漲るのを感じた。
「ぐぉーーーー!!見てろーーーッばーーろーー!!」
叫んだ台詞はあまりにも大人げなかったが、あの体の熱さは忘れない。「もう一歩も歩けない」はずだった私が、そこから駅までの帰り道15分を韋駄天の如く走って戻ったのだから人間って不思議だ。そう。怒った時はチャンス。私のモチベーションは怒りなのだ。
「下町ロケット」の佃社長ならば、こんな私のドス黒い野心、「恨みで動いている人間に未来なんてありませんよ」と優しく諭すに違いない。それもわかる。なので6割くらいで留めておいて、あと4割は健やかな希望と夢をモチベーションに歩みたい……。
余談なのだが、その悪役風のオッサンに鼻で笑われた企画は、別のところで通ってムックになった。
一つのところで反応が悪くても、別のところにいったら受け入れられるなんてことも多々ある。なのでんもう腐らずに進めばいいさどこまでも。 嫌なヤツに当たったら、それはエネルギー源(ネタともいう)。
私が何度も何度もハンカチ噛むちぎるほど悔しい思いをした営業体験で、得た一番の学びはそれである。だから新社会人のみなさんも大丈夫。一緒に怒って笑って頑張ろう!
ムカつきイラつきライダーキック!ちょあー!