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大学書林『四週間』シリーズを本当に四週間でやってみた②:『ギリシヤ語四週間』
前回の四週間チャレンジ
みなさま、一ヶ月ぶりです。大山です。
就職してからお金の余裕が出来たので、長年の夢だった大学書林の『〇〇語四週間』の収集ができるようになりました。ここのところは、この四週間シリーズを本当に四週間でやり終えるというチャレンジをやっています。酔狂です。
わたしは言語学者である以前に語学マニアなので、語学書の収集が趣味です。昔はお金の関係で古本屋を丹念に探して少しづつ集めてきたのですが、就職してからはちょっと背伸びができるようになりました。
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) January 15, 2024
...というわけで、遂に買ってしまいました。『ペルシア語四週間』。わーい。 pic.twitter.com/0TfE32vM4s
前回の記事では、『オランダ語四週間』と『ペルシア語四週間』に挑んだ記録をまとめました。
中国には、上の二冊に加えて、『ギリシヤ語四週間』を持ってきていました。というわけで、今回は、その『ギリシヤ語四週間』に挑戦した一ヶ月の模様をお送りします。
前提:ギリシア語は一応既習です
一応わたしはギリシア語既習です。講読の授業までちゃんと出ました。なので変化表などの主要なところは暗記済みです。そのうえでこのザマなのだということを前提としてご覧ください。
ちなみに、この『ギリシヤ語四週間』には結構な思い入れがあります。わたしが大学に入学した2013年度のギリシア語初級は月曜1限で、初回は100人以上いました。それが徐々に減っていき、冬学期に入る頃には5人になり、その中から翌年の中級に上がったのはわたし1人だけでした。しかし、その中級の授業に初級を受けずにいきなりやってきた同期がいたのです。彼が言うには、初級は『ギリシヤ語四週間』で済ませたと。あまりに吃驚したのでよく覚えています。
あの中級の授業は、先生、わたし、彼、後期教養の科学哲学の人、西洋古典の博士課程の人というよくわからない5人で回すことになりました。κατάの解釈で一時間以上議論したことなどよい思い出として残っています。
最後に『四週間』の彼が企画してみんなで神楽坂で打ち上げをやったこと、そこに先生の同期だった西洋史のI田Y郎先生が途中で飛び入り参加されたことなども含め、10年経った今でもとても良い思い出です。
『ギリシヤ語四週間』、これをやってからいきなり中級に来た同級生がいたので思い出深いです。わたしの年は、初級の初回に出た100人ちょっとのうち中級まで生き残ったのがわたしだけだったのですが、彼がいきなり中級から来た時は吃驚しました。元気にしているでしょうか。 #四週間でギリシヤ語四週間
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) March 26, 2024
こんな感じで、やりながら色々な思い出が蘇ってくる四週間でした。
四週間チャレンジの経過
『ギリシヤ語四週間』は初日からアホみたいな量をやらせます。一番基本的なω動詞の現在形とo語幹名詞の格変化がいっぺんにドンと出ます。あとは覚えといて方式です。まあこのあたりは「初日」じゃなくて「初週」だったらギリシア語の教科書では普通です。
はい、というわけで『ギリシヤ語四週間』です。一応既習なので一日目は飛ばしました。本来初学者の二日目にこの量をやらせるって正気ですか?現在形+o語幹名詞の活用のみならず、もう中性名詞複数形が主語の時の動詞の一致とか、対格不定詞の構文が出てきてるんですが...#四週間でギリシヤ語四週間 pic.twitter.com/Fof4cSYE39
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) March 26, 2024
この本は、基本的に毎日和訳20問・作文10問の構成になっていました。一日でわたしが初級で使った教科書の2課分の負担があります。初級だと1週間で和訳10問×2課だったんで、単純計算で普通の初級の授業の10倍ちょっとの負荷になります。は?
上の文章を書いていて、著者は絶対四週間でやることを想定していないと確信しました。
本日分です。多分1日でわたしが初級で使った『初歩』の2課分くらいありますね、これ。あっちは1週間で2課だったんですが、こっちは1日です。おお、もう...。
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) March 27, 2024
作文の正誤は判定が難しいんですよね。2はさすがに許容範囲なんじゃないかなと思いますが、4はわかりません。#四週間でギリシヤ語四週間 pic.twitter.com/28eGSywdoS
前回の『ペルシア語四週間』も終盤はかなり苦戦したのですが、だいたい『ペルシア語四週間』の後半くらいの負担が最初からあります。おかしいだろ。
第一週からもう既にペルシア語四週間の第三週くらいの負担があるんですが...ギリシア語が四週間シリーズの最難関かもしれません。そろそろ綺麗な字を書く余裕が無くなってきました。 #四週間でギリシヤ語四週間 pic.twitter.com/zn6VHnBeCx
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) March 29, 2024
週末にはダメ押しとばかりに「週末訳読」なるコーナーが追加であります。Twitterで進捗報告する縛りを自分に課していなかったらこのタイミングで投げていた自信があります。もうこの時点で既に作文は壊滅していました。日本語の問題文から想定されるギリシア語の形が定まらなさすぎて正答なんて無理です。別解も含めて正誤が判定できる教員がいて初めて活きる課題です、作文って。
やっと一週間終わりです。今日も訳読20問、作文10問...は?週末訳読!?#四週間でギリシヤ語四週間 pic.twitter.com/rUnvOeDuQj
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) March 31, 2024
しかもわたし既習ですからね。変化表はだいたい暗記できていて、単語も基本的なものは覚えています。その上でこんなにきついと感じるのです。初学者はそもそも変化表も覚えていないし単語もわからないので、まず活用形を判別するのに一苦労、辞書の形を導き出すのに一苦労、訳を考えるのに一苦労です。わたしは前二つを飛ばせるのにここまで苦戦したのです。初見四週間クリアがいかに無理ゲーかわかります。
しかし、この本は結構印欧語的な背景知識が入っていて、印欧語の知識があるとかなり楽しめるようにできています。その点ではわたしにとっては良書ですね。『ペルシア語四週間』の時は後半湧き出してくる本に対する憎しみの念に悩まされたのですが、『ギリシヤ語四週間』はやり終わった今でも結構好感があります。単純に古典語の方が好きだからだという説はありますが。
この本、印欧語的な豆知識がかなり入っていますね。はじめてギリシア語を勉強した時には分からなかったのですが、今なら分かります。四週間といいつつ、周回前提ですねこれは...。ほとんどの人にとって2周目以降じゃないとピンと来ない要素が結構多いです。 #四週間でギリシヤ語四週間
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) April 3, 2024
途中で紅茶をこぼして心がポッキリいきかけるアクシデントも。みなさんもどうぞお気をつけください…。濡れたページ全部に厚めのティッシュを挟んで、上から重しを乗せて水抜きをしたら色以外はなんとかなりました。こういう時は早めの対処がマジで重要。
落としたペンを拾おうとした際に紅茶をこぼして凹んでます。四週間の方も少しやられました。 #四週間でギリシヤ語四週間 pic.twitter.com/mh6M5nHVyU
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) April 5, 2024
終盤は練習問題に加えて「訳読練習」が追加されてさらに地獄感が増しました。ここまで来るともう生活の中心がギリシア語になります。それ以外の全ては些事です。相変わらず作文の出来は壊滅的だし、メンタルはどんどん削れていきますが、一方でギリシア語力はゴリゴリついていくのを感じます。四週間シリーズは今回で三冊目ですが、今までで一番進歩が実感できたのは『ギリシヤ語四週間』でした。でも四週間でやる意味はマジでない。
第三週第四日です。今日から練習問題に加えて「訳読練習」が追加になります。...徐々にエスカレートしていくいじめか何かですか? #四週間でギリシヤ語四週間 pic.twitter.com/JADRjET3yR
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) April 12, 2024
いよいよ第三週も後半に入ってきました。ギリシア語力はゴリゴリついていくのを感じますけど、メンタルも同時にゴリゴリ削られていきます。良い子は無理せず四十週間コースでいきましょう。 #四週間でギリシヤ語四週間 pic.twitter.com/lAWRNR1ev2
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) April 13, 2024
作文で地味に一番苦労したのが前置詞の使い分けです。「戸口の近くに座る」だったらπαρὰ τῇ θύρᾳだと思うじゃん?答えがπρὸς τὴν θύρανだったりするんですよ。 心がポッキリいきそうになる要因第一位でした。ちなみに一番使い勝手が良さそうな前置詞はἐπίでした。
πρόςとπαράとἐπίの使い分けが分からねェ #四週間でギリシヤ語四週間
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) April 18, 2024
総括
とまあ何だかんだで四週間無事に耐え切りました。途中から進歩がひしひしと実感できたので実り多い一ヶ月間になったと思うのですが、それはそれとしてもう二度とやりたくないです。
というわけで『ギリシヤ語四週間』、無事四週間で完走できました!完走した感想ですが、もう二度とやりたくないです。著者の先生には是非なぜこんなのを初学者が四週間でできると思ったのかと問い詰めたいところです。あなたの初級は最初からこの勢いでやるんですかと。
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) April 22, 2024
#四週間でギリシヤ語四週間 pic.twitter.com/RVNkWXPFK5
半分終えた段階で既に感じていましたが、体感のキツさはギリシア語>>ペルシア語>>オランダ語です。今になってみると『オランダ語四週間』は楽勝だったと言っても良いレベルです。正直『ギリシヤ語四週間』が四週間シリーズ最難関だった疑惑があります。
『ギリシヤ語四週間』を半分終えての感想ですが、このシリーズの体感のキツさはギリシア語>>ペルシア語>>越えられない壁>>オランダ語です。
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) April 7, 2024
『ギリシヤ語四週間』は中級者が28日間毎日講読の授業受けるみたいな勢いでやってようやく追いつける程度の負荷です。ヤバい。
#四週間でギリシヤ語四週間 pic.twitter.com/LZpbZKY1O4
『ペルシア語四週間』の時は1日2、3時間必要みたいなことを言いましたが、『ギリシヤ語四週間』は1日n時間とか甘いことを言っている場合ではありません。全ての隙間時間をギリシア語に突っ込む気合と根性が必要です。この一ヶ月、わたしの生活はギリシア語を中心に回っていました。寝てもギリシア語、覚めてもギリシア語でした。
四週間で『ギリシヤ語四週間』総括:
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) April 22, 2024
一日n時間とか甘いことを言っている場合ではない
ギリシア語を中心に生活を回す必要がある
四週間コースは二周目以降の限定要素、初学者には100%無理
練習問題だけでノート138頁消費した
中盤から作文が壊滅し過ぎてメンタルが終わる#四週間でギリシヤ語四週間 pic.twitter.com/PLzAvbR9cn
最初の綺麗だったノートがもうこんな姿に…(半分くらいは紅茶をこぼしたせい)
To Be Continued... pic.twitter.com/gxxTjznGT8
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) March 24, 2024
今回中国に持ってきている四週間シリーズはこれで全てやり終えてしまったことになります。次回の四週間チャレンジは夏以降の予定です。
『〇〇語四週間』シリーズの真実
ちなみに、コレクション用に『中国語四週間』を注文しようとした際、ついに真実に気がついてしまいました。
あっ真実に気づいちゃったかもしれない。 pic.twitter.com/niNAfTTl3w
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) March 29, 2024
やっぱり〇〇語四十週間シリーズじゃないか!!!!!
おわり。次回に続く!
Q. 次に四週間チャレンジすべき四週間シリーズは?
— 大山祐亮(Yūsuke ŌYAMA) (@Yusuke_OYAMA_) April 23, 2024
(中国に持ってきている四週間シリーズは全てやり終えてしまったので、次回は夏以降になります)