大学書林『四週間』シリーズを本当に四週間でやってみた①:『オランダ語四週間』・『ペルシア語四週間』
大学書林という出版社から、『〇〇語四週間』という語学書のシリーズが出ています。値段が高いので学生時代には手が出しにくかったのですが、就職してお金に余裕ができたので堂々と買えるようになりました。
このシリーズ、とても4週間でこなせる内容ではないともっぱら噂で、わたし自身の印象としても、まず4週間では無理で、40週間か4年間くらいは費やさないと無理だろうという感じでした。
しかし、言語学者以前に語学マニアでもあるこのわたし、無理だというのはなんだか負けたような気がします。『四週間』と銘打ってあるならば4週間でこなせるはずだ。4週間でこなせなければ語学マニアの名折れだ。ここで引き下がるのは語学マニアの名が廃る。
…というわけで、『オランダ語四週間』と、『ペルシア語四週間』を実際に四週間でやってみました。途中で休んだ日もあったので、厳密には合計28日間でこなせるか、ですね。
前者の方はX(Twitter)上の#オランダ語四週間できるかな、後者は#四週間でペルシア語四週間、というタグで進捗状況と感想を載せてありますので、よかったらそちらからどうぞ。それではいきましょう。
『オランダ語四週間』
結論から言うと、『オランダ語四週間』はそんなに負担なくできました。
このシリーズの長所として、例文がたくさんあるということが挙げられる気がします。習った文法事項の使い方がわかりやすい。ただ、練習問題の答えがない(=教室用)というのは独学する人間としては短所ですね。また、動詞の変化表など、間違いが致命的になりかねないところに誤植があるのが目につきました。
また、単語については自分で辞書を引くのが前提にされている…はずです。少なくとも巻末には動詞の変化表しかありません。『ペルシア語四週間』にもありません。『ギリシア語四週間』には巻末に語彙集があるんですけどね。
ちょっとした訳読や作文程度なら許せるのですが、長い文章を語彙も注釈もない状態でポンと出されると、独学の人間としては投げたくなります。オランダ語だからまだなんとかなりますが、印欧語じゃなかったら詰んでますよ、これ。
結論:可能だが1日1時間くらい必要
さて、まとめましょう。『オランダ語四週間』は、『四週間』シリーズの中では比較的負担が軽い方だと思いました。軽い方とはいっても、『ニューエクスプレス』みたいな他のシリーズと比べたら圧倒的に重いということに注意が必要です。
まあ、でも全体としてやっていて楽しかったという感想は持てました。『四週間』シリーズの入門(?)によい(?)一冊のような気がします。…そんな動機で語学をやるのが健全かという質問には答えずにおきます。語学マニアなんて皆そんなもんです。そこに語学書があるから、です。
『ペルシア語四週間』
こちらは本当にしんどかったです。
最初のうちはまだ良いです。練習問題についている語彙のリストをちゃんとメモして、自分で一覧を作っておけばついていけたので。文例と一緒に新出単語が出てくるので、比較的暗記の負担が少なかったです。
問題は動詞の活用が出てきたあたりからです。そのあたりから、例文なしにリストがドンと出てきて、そのリストからいきなり練習問題に出てくるみたいなことが増えました。ここから一気に暗記が追いつかなくなりました。前置詞も動詞も覚えにくくてしょうがない。やっぱり例文と紐づけて覚えるのは重要だと思いました。
また、最後の方になると、文法事項もリストをポンと出して覚えておいてね方式になります。第三週の後半以降は特に無味乾燥としていました。
練習問題もどんどん長く複雑になっていきます。
このあたりから徐々にこの本に対する憎しみの気持ちが沸いてきました。今となっては憎しみでいっぱいです。
多分著者も根本的に四週間でこなすことを想定していないんじゃないかと思うようになりました。これを例文とかも含めて隅から隅までちゃんとやろうとすると四週間みっちり半日くらい缶詰にならないといけないんじゃないかなと思います。そこまでペルシア語に労力をかけられるなら良いのですが、どう考えてもペルシア語専攻以外にそんな人はほぼいないでしょう。なので、やはり無理に四週間でこなそうとするのはやめた方がいいという結論になりました。
結論:可能だが1日2、3時間+単語の暗記の時間が必要
さて、まとめましょう。こちらは本当にきつかったです。これを教科書とは呼びたくないです。『ペルシア語四週間』は、本質的には参照文法ですが、索引がないのでいまいち使い勝手がよくないです。結論としては本気で四週間でこなそうとするとこの本に対する憎しみが湧いてくるので、もっと最初から長い目でこなしにかかった方が絶対に良いです。一言でまとめると、「四週間でやるものではない」となります。
まあ、今後は週一くらいで例文研究を継続していこうかなと考えています。せっかく何となくペルシア語の感覚がつかめてきたのに、ここで忘れてしまうのはもったいないですからね。パフラヴィー語の方も少しずつ読んでいきたいです。
次は『ギリシア語四週間』の予定
次は、以前のアンケートで二位だった『ギリシア語四週間』をやっていこうと考えています。『オランダ語四週間』『ペルシア語四週間』『ギリシア語四週間』の三冊だけ中国に持ってきています。こうやって退くに退けない状況をつくるとコンスタントに勉強できて良いですね。では、多分また一ヶ月後にお会いしましょう。
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