深きを軽く
深きことを、重くいうならば、
意味はない。
深きことを、難しく言うのは、
普通である。
そのように考えてしまう
わけである。
だから、深きことを、
軽く言いたいのである。
深きことを、簡単に
言いたいのである。
そしてこれが、とても
難しいのである。
だから自分の経験を何度も
咀嚼しなければならないのである。
自らの過去を様々な角度からみて、
ありのままに分析するのである。
特に過去の恐怖体験に光を当て、
二度と味わいたくない恐怖を
何度も追体験するやり方は、
濡れ雑巾を何度もしぼり、
それを乾くまでやるような、
そのような感覚があったわけである。
そのようにして、自らの過去の弱さをとことん追体験してゆくと、辛い過去の出来事も、発酵し、別物となっている。
笑って話せる、さらりと言えるレベルになると、それはもうすっかり軽いのである。
深きこととは、自らの経験の中で、
辛かったことである。
恐くて恐くてたまらなかったこと
である。
なぜにこんな目にあったのか、
理解できず苦しんだことである。
これが、自分なりに理解できた
時に、深きことを、軽く言えるの
である。