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ボランティアとは何か

映画「クロスロード」は、
「理想でもきれいごとでもない、
リアルな青年海外協力隊員たちを描いた」作品である。

派遣前訓練所の所長は、主人公沢田に
「なぜ君はそんなに協力隊に行きたいんだ」と尋ねる。

沢田は、「海外に出て、今の自分からステップアップしたいんです。カメラマンとして、成功するきっかけをつかみたいんです」と答えるのである。

すると、所長は、「君にとってボランティアとは、何なのか?」と、重ねて尋ねるのである。

沢田は、「ボランティアって人のためって言うけど、結局はみんな自分のために行くんじゃないですか。
俺は偽善的な建前が嫌いなんです。」と答えたわけである。

沢田は、フィリピンで、二年間の
ボランティア活動を終え、その
八年後に、病床に伏す所長を見舞うのである。

そこで、所長は、再び、沢田に尋ねるのである。

「君にとってボランティアとは
何かね?」と。

10年前と同じ質問に対し、沢田は、
次のように答えたのである。

「みんなが幸せになることです。
金持ちも貧乏な人もフィリピン人も
日本人もみんな同じ人間です。メシを食って、仕事をして、恋をして。
俺なんかより、よっぽど困っている
人が、よっぽど真剣に現実に向き合って、必死に生きている姿をみてきました。そういう人たちのために、俺は
何かできることがないかって真剣に
考えてきました。」

派遣前の沢田の言葉、派遣後の
彼の言葉に過去の自分を重ね合わせたのである。

自分も同じ思いで、海外に赴き、
同じ思いで帰国の途についたことを
思い出したのである。

「世界のすべての人が幸せになるために自分は何ができるのか。」

この自問自答が、自らの原点だった
わけである。

思えば、帰国後の人生が、摩訶不思議なものとなったのは、この問いかけのせいだったわけである。

16年立った今ようやく自分なりの答えを獲得しているのである。

あとは、これからの人生を使い、
自らの答えが、正解かどうか。
これを確かめるだけなのである。

あらためて思うに、自分にとっての、
国際ボランティアとは、
自分の原点を発見するための
唯一無二の機会だったわけである。

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