原点回帰
原点回帰とは、基本に立ち返る
こと、初心に立ち戻ること。
そもそもの事の起こりに再び
忠実になることをいう。
では、この原点とは、「いったいどこにあるのか。」ということになる。
「どこまで戻れば、基本に立ち返る
ことができるのか」ということに
なる。
思うに、自らの原点は、失意どん底の時にある。
すべてを捨て、あるいは失い、
裸一貫となりし時にある。
「何もないから」
隠れていた自らの原点が
見えてくるのである。
何もないから、失う恐怖がない
のである。
何もないから、はかりごとなしに、
無謀なことを想像できるわけである。
だから、進むべき道を見失った時は、
自らの原点。これに立ち戻るべき
時なのである。
決して思い出したくない。
封印してきた過去、絶望と日々に
思いを馳せれば見えてくるのである。
そしてあの時抱いた崇高な
志しを思い出せば良いのである。
身分不相応と切り捨ててきた
崇高な思いが、自らの原点なので
ある。
「たったひとりしかない自分を
たった一度しかない人生を、
本当に生かせなかったら、
人間生まれてきたかいがない
じゃないか」
小説「路傍の石」で、主人公の
吾一少年が、担任の教師にかけられた言葉である。
「何もないところ」
ここに回帰し、自らの原点を
見いだすことが、たったひとり
しかいない自分を本当に生かす
道なのである。