お伽の森
Ⅰ
彼女がまだ子どものころ 輝く瞳で世界を見渡した
けれど世界は少女を拒絶するばかり
少女は泣いた 泣いても人々は誰も気づかなかった
少女は助けを求めた 雑踏を歩き回る迷子の子どものように
少女は部屋に閉じこもり 空想の友達を絵に描いた
友達に名前をつけ 毎日彼らに話しかけた
時々彼らから返事が返ってくる気がした
幼子が神様に祈るように 少女は彼らを描き続けた
眠った少女に話しかける人がいた
母ではない 母は少女と共に眠らないから
少女は描いた友達を見た
彼らは楽しそうに少女の部屋を歩きまわっていた
友達の一人が少女の手を握った
「ここから出ていこう 私達はあなたとお伽の森へいく」
少女は喜びで涙があふれた
少女は彼らと手を取りあいお伽の森へ入った
Ⅱ
女は語る かつて私の膝の上に彼らが顕れ
私達はこびとの様に楽しく遊び話し合った
私が夢から覚めると彼らはいなかったが
漆黒の星空に彼らが浮かんでいくのを見た と。
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