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生薬としての藍顔料:青黛(セイタイ)
藍分を含む植物からその色を抽出して精製した顔料は、それそのものが生薬として役立てられていました。今回は青黛(セイタイ)と呼ばれた藍顔料の働きかけについてのご紹介です。
東洋医学と西洋医学の垣根を超えて注目を集めつつある素材ですので、是非ご覧ください。
ちなみにタイトル画像は私たちの畑のタデアイの葉と、その葉から抽出した自家製の青黛とそれを配合して作っていた石けんです。
1、藍の顔料である青黛の概要
絵の具として用いるけれど、薬として用いても良い。って面白いです。
現代において、着色料や塗料など「色付け」に使用されるものはほぼ化学合成物質であることもあり、健康を害する添加物の代表格のようなイメージがつきまといます。
ですが、昔はこのように植物から精製される「色」は薬として認識されていたことが分かります。植物が自分の命を守るために備えた「生き残るための知恵」としての成分が、人にとって薬や毒になることを経験によって知っていたのです。
少し補足です。
染料と顔料の違いについて。水に溶け出すものが染料で、水にも油にも溶けないものが顔料です。
藍分を含む植物を乾燥させた後に発酵を促し、堆肥化させた「すくも」は、色素を水に溶けるように調整して使うものだから、「染料」。
藍分を含む植物を刈り取り直後に水に浸して色素を抽出し、酸化・発色させて沈殿するのを待ち、濃縮した後に乾燥させた沈殿藍・青黛は、水にも油にも溶けないから「顔料」です。
紛らわしい…
2、注目される抗菌作用。免疫力活性化の働きかけも。
代表取締役を務めてきた藍色工房の看板商品「藍染め石けん」シリーズは、私たちの畑で栽培した藍から顔料を精製し、独自のレシピで配合していました。長くご利用いただいていたお客様の中にはアトピー性皮膚炎や頭皮湿疹などでお困りの方も多く、特に皮膚炎でお困りの小さなお子さんのいらっしゃるご家庭では「夜に肌の痒さで起きて泣き出すことが無くなった」というお声をいただくことが何度もありました。
肌のバリア機能を破壊せずに清潔を保つことができる石けんレシピだったことに加えて、独自に配合していた藍顔料の抗菌作用が穏やかに働きかけていた結果ではないかと思っています。
青森の大学から、藍顔料に優れた抗菌成分であるトリプタントリンが含まれていることが発表され、肌の上で痒みを伴う炎症を引き起こす原因菌の一つである「マラセチア菌」の繁殖を抑制することも立証されています。
この成分が石けん中に含まれていることは、分析にかけて把握していました。
更に別の分析にかけた際、この顔料に免疫力を活性化させる働きかけも備わっていたことが分かりました。
つまり、抗菌の働きかけで炎症の原因となる菌が繁殖されなくなった肌に免疫力活性化の働きかけが加わったことで、肌そのものが自分の力で元気になっていく良い循環が生まれていた可能性があったのです。
この抗菌作用は青森の皆さんの頑張りの中で少しずつ注目度が高まり、宇宙飛行士のユニフォームを青森の藍で染色し、宇宙での活動中の清潔を保つ役割を果たされたことが話題になったことがありました。
伝統として伝えられてきた藍染めの、これから先の道のヒントになるような出来事に見えました。
そして、生薬としての東洋医学の域を越えて、ある難病に対する青黛の働きかけの研究が、進められるようにまでなっています。
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