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universe

鎖骨より首筋 耳から顎へと 頭頂からつま先まで
てのひらと甲でゆったりと撫でゆく 影になる部分へ光を
足りぬところはない すでに満たされ調和しているあなたへ注ぐ愛
感じて受け取ったなら 種は芽吹きの支度へ

あたたかな手はわたくしだけの触角 感覚をひらけば海の遥か
何億光年先の彼方へも飛び立てる 乳房をつつみ先端をゆく
示す方角へと舵をとり いつだって帰って来られるあなただけの聖域

脇腹に背 臍をまわって 円やかなる臀部 ふっくらと腿 ふくらみに膝
踝を両側からはさみ ふくらはぎへ上る 腰のラインをなぞり

花であり果実 胡桃の殻のごとき静けさ
あたたかに湿り訪いを待ち侘び 終わりなき対話
どうゆかうか どうふれやう 決めるのは

保たれた硬さ やわらかに溶け おおきく ちいさく
幾層ものつらなり 拡がる内側の天鵞絨 とろりと開けば思いきり弾み
波打ち際を歩き 切れ目無く続く八の字に呼応する熱
粘度 風味 吸いつき 月の齢とともに変わりゆく調合 潮の満ち引き
内腿や下腹に止まらない 躰全体が絶えず交感している 
沈め浮かび 常ならば相手の じぶんの呼吸が耳を湿らせてゆく

いとしいひとと過ごす時のほか 最も近しい自分をあぢわひよろこばせやう
扉をひらくのは相手に限らぬ あなたもあなたを解放して

描く弧は岬の突端へ 螺旋 はてなき探求
ふたつの唇がみせる夢の鮮やかさ 澄んだ感覚
速さ ふれ方 角度や こぼれる雫は湖へと

愛しさは美を見出し 向かいあう番となる 

開いてひらいた先のひそやかな核 纏う十二単のうちに明るみ
くもり空を割りとどく日差し 焦がれる波音をともに聴く

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芹沢 沓胡
Erat, est, fuit あった、ある、あるであろう....🌛