鼓動
唇がふれる場所を 仔細になぞり あの瞳が向けられるとき
どうしようもなく押しよせるもの 躰が魂に追いつき 呼応する
熱はやまない 解かれてゆく心 駆けていく熱の先を追ひ
とうとう訪れた夏の陽射し 凍える屋内に赤く燃え立つ花影
質量の殆どない膨らみの 張り詰めた先端に雫が落つ 段丘やでん部と違い
あわあわと形を変える筋のないすべらかさ 背後に散る飛沫
向かい合いのせつなさ 迸るはじめての感情 羽根はなくとも翔んでみて
確りとしたフレエムが捉え離さない 日常の動きがつくる筋の陰影
絶え間ない感性のふるえ 湖面は川へ やがて海へと 愛には果てがない
額に注ぐ接吻 眩さに目を開いていられない 流れ込んだ波
充ちるリズムに黄金の扉が開かれる 耳に首 膝小僧 惹きつけあふ
すべてに あえかな溜息が昇りゆく 熱に溶けゆく氷に舞ふ香
交わすグラスに浮かぶ泡が消えぬやう 小径を急ひで 今漕ぎ出さふ
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Erat, est, fuit
あった、ある、あるであろう....🌛