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charming

simpleで明瞭な 澄んだもの さういう方向に舵を切り
ほんとうに落ちる 時と流れが一体となり 大いなる気配はすぐ傍に
運命は通り過ぎてみないとわからぬもの 昨秋の情景 満ちる香り
気持ちのよい呼吸 ほがらかな気が漂ひ 自然の按配に見とれて
あざやかに吹き抜けた風 虹色を走り出していた

恋が愛に変わる瞬間 愛は生じる前からすでに愛で
おちる前からくっきりと解る すいと水を縫って進みゆく舟の神秘
遠く感じていた事々は瞬く間に近しくなり つよく包まれた香に眩暈
ああすきだったと思い出す瞬間の連なり ひとの不思議

熱を帯びる色々は そこかしこに散りばめられ
輝ける叢 露のひとつぶ一粒に宇宙が揺れる

思い浮かべるだけで 声が漏れるおかしみ
心に灯る喜びが あらたなリズムを刻み出す
跳びたくてそっと重心を下げる 掴みたい音を鳴らしたなら
舞う色とひとつに オオカミは崖の上 届く声に盃を

あふれ出た言葉が踊り出す それでは足りず目覚めた躰
音は魂を引き連れてゆく はてなく広がる響きが緩急にみちびかれて

この気持ちをことばで言い表せたなら いろいろの形を咀嚼し
仕合わせを思ふ あらたしい感覚を写さうと道を探して
迷い込んだ路地に ふさりと猫の尾が振れた

しずかな水辺で待とう 珈琲とかぐわしい小瓶  
南瓜とスパイスのパンが焼き上がる 溶け合う境界にメイプルを
心を染めた墨色のうつくしさに 今日も焦がれている
空を舞う鷹の羽ばたきに願ひ フィッシュ・パイをもとめ行かう

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芹沢 沓胡
Erat, est, fuit あった、ある、あるであろう....🌛