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phenomenon

湖を前にすると すべてはどうということもないと思われる
心が千々に乱れようと 突発的なことが続発しようと世界は巡りゆく
私の聖域は今日も元気 まっさらの自分に還る地点

種々の音 やけに賑やかだと思えば 溶け始めた氷のうなり
雪の重みから放たれ風に泳ぐ枝葉 葉や幹の色がまぶしく映る
暖かさを告げる予報は一日早かったやう 凍える気温は相も変わらず
毛糸のふくや帽子 スノーブーツなしでは からだを守れぬと気付き始め
珍しく顔を見せた太陽 差す陽に春の兆しをさがして

固まっては解け さまざまの層を見せる氷たちもさんざめく
光のきらめきは息を呑むうつくしさ 次々に呼びかけ来る白や透明に澄む
冬の仲間たち 身体の内で喜びが弾け とめどない笑いの渦へ
次の瞬間充ちた 正体のわからぬせつなさに涙がこぼれ

手をうごかし種々のものをつくり 描くひとを連れ来たい 雪の造形をみせて
季節のおくりものは そこはかとなくわたしたちを温めてくれる
おおらかで清々しく力づよい さう立春だもの 季節はめぐる

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芹沢 沓胡
Erat, est, fuit あった、ある、あるであろう....🌛