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【 いつか珈琲屋 】 で美味しいコーヒーと出会う 〜豆じぃとインドコーヒーの旅②〜

こんにちは、Merthi Coffee( メルティコーヒー )です。インド産コーヒーのインポートをしています。
日本ではまだまだ知名度がひくいインド産コーヒーですが、近年そのクオリティは着実にあがってきています。
メルティコーヒーは、note・Instagramでインドのコーヒー事情やユニークなインドカルチャーを日々発信しています。
今回は、前回記事【 いつか珈琲屋 】 で美味しいコーヒーと出会う 〜豆じぃとインドコーヒーの旅①〜の後編です。

前編旅はこちらです。



南インド・バンガロール市内から車で約7時間(朝ごはんや休憩時間もふくんでいます)、やっと着いたぁ〜〜・・と、思ったらまさかの紅茶農園エリアで、まずはいち夜をすごしました。

翌朝は、疲れているはずなのに早朝には目が覚めてしまいました。あぁ、寝不足だなぁ、全然疲れとれてない。というか、山の上めっちゃ寒いやん!

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灼熱のインドとは思えないほどの寒さ。わずかに持ってきていた上着をきこんで、バルコニーにでてみるとちょうど日の出の時間でした。太陽の光に満ちた紅茶農園の森の神々しいすがたは、頑張ってたどりついたご褒美のようでした。
いや、たどりついたのはコーヒーじゃなくて、紅茶農園やん!
そんなことをぼんやり考えていると、メイドさんがあたたかいチャイを持ってきてくれました。紅茶農園で朝日を浴びながらチャイを飲むなんて、こんな贅沢なことありません。
「あの時飲んだチャイが本当に美味しくて日本でも同じ味をつくるためにレシピをいろいろ試したんだよ。」と、のちに豆じぃが教えてくれました。

紅茶・チャイについてご興味あるかたは、こちらの記事もぜひのぞいてみてくださいね。



さてさて、いよいよ今日は、今日こそは、コーヒー農園へたどりつくはず!念願のインドコーヒーはもうすぐです!
紅茶農園から車で約2時間、ひたすら山道をゆられながら進んでいくと、ありました!コーヒーの赤いチェリーがたくさん!ついに、コーヒーエリアに到着です。

到着後は、まずはエリア全体の案内です。
わたしたちのコーヒー農園は、標高の高さによって3つのエリアにわけてコーヒーの木の管理をしています。各エリアはさらに細かくエリア分けをされていて、チェリーの熟度や天候などをチェックしながら収穫作業がおこなわれています。

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エリアごとのコーヒーの木のようすや、品種のようす、土、水、シェードツリーの管理、そして、精製場所、さまざまな場所を私たちはこまかく見ていきました。

さて、いろいろ見て体験してきましたが、肝心なのはやっぱり味、品質ですよね。
農園エリア内の事務所で、カッピングができるようにインド人スタッフたちが準備をしてくれていました。


そう、ここで、事件発生です。

「こんなんで、カッピングできるわけないだろぉぉおおーーー!!!!!」

豆じぃ、ブチギレ。


ひぇぇ〜〜〜泣

それもそのはず、
カッピング用に準備してくれてはいたんだけど、それはそれはテキトーというか、悲惨というか…どんな状況だったかというと、
まずは、カッピング用のコーヒーがめちゃくちゃ深煎り。コーヒー関係者のかたならおわかりいただけると思うのですが、カッピングをするならば、コーヒー本来の味わいをチェックするために浅めの焙煎にするべきなんです。焙煎が進むと、繊細なフレーバーをかき消してしまう可能性もあるし、焙煎由来の味を間違えてフレーバーととらえてしまうこともあるんですよね。ところが、その時のコーヒーは深煎りも深煎り。エスプレッソ用かな?というくらい深いので、もはやなぁ〜んにもキャッチできないほどでした。あげくのはてに、農園オーナーもスタッフもだれが焙煎したのかわからないという始末。日本じゃ絶対にありえないことだけど、まぁ、これが、インドですよ、いや、インドだけじゃないと思います。コーヒー後進国とはそんなもんなんですよ。ただ単純に焼けばいいと思っているんです。

そして、次に、そのコーヒーがとっても細かく挽かれていたことです。これまたエスプレッソでも出すのかな?ってくらいに。これだと、成分が抽出されすぎてしまい、余計な雑味も出てしまう。しかも、挽いてもぅ数日経った状態。

そして、さらには、カッピング用と準備されていたグラスが、縦長のグラスでカッピングには絶対適していない!
グラインダーもない!
スケールもない!
カッピングスプーンもない!
タイマーもない!
グラスでかいのに、めっちゃちっちゃいケトルしかない!
電気不安定&山の上で全然お湯わかへん!


そら、豆じぃキレるよね…。

もちろん、わたしはこの時すでに何度か農園に来ていたので、カッピングがこの状況であることは知っていました。

では、なぜ、わたしは農園側に対して何も言わなかったのか?
そういうものだと思っていたんです。というのは、『 郷に入っては郷に従え 』、こんなコトバがあるように、場所や文化によってやり方はかわるものだから、自分がそれに合わせなければいけないものだと思っていたんです。冷静に考えると、そんなワケないんですけど、自分がその中にはいってしまっているとひとってただしく判断できない場合があるですね。(わたしがかなり鈍感なタイプなので、なんでも気づくのが遅いです。ほんと、当時の自分を殴りたい)
豆じぃが怒っている姿をみて、私は、「そうなんだ!間違っていることをきちんと指摘し、伝えてもいいんだ!言ってもいいんだ!」と、とてつもない衝撃をうけました。

そのときは、とりあえず、まぁ、一応カッピングして、なんとなく雰囲気だけを確認し、改めて日本でカッピングするためにサンプル生豆をもらって帰りました。

翌日、ふたたび7時間かけてバンガロールに帰ってくるやいなや、わたしと豆じぃは、わたしが留学時代にお世話になっていたカフェをたずねました。そこで何をしたかというと、
カフェオーナーにグラインダーを手配してもらうようお願いをしました。カッピングをするには、まず、挽きたてのコーヒーを使用することは当たり前、絶対です。日本で買って送ることも可能でしたが、コストがかかるし、何より日本とインドでは電圧がちがいます。現地で買うのがベストだと考え、インド人のカフェオーナーにお願いをしました。快くひきうけてくれ、後日、コーヒー農園オーナーにグラインダーを届けてくれました。豆じぃとわたしからのプレゼントです。

日本に帰ってから、スケール・カッピングスプーン・タイマー・カッピング用の小さめのグラスを揃えて、インドへ送りました。ついでに、カッピングの仕方をまとめた資料もつけて。


農園オーナーはとてもとても喜んで、感動してくれました。
この一件があったおかげで、わたしは後の試作作業をかなりスムーズに進められることになります。豆じぃがインドコーヒーに興味をもってくれなかったら、農園に一緒に行ってくれなかったら、カッピングの状況に怒ってくれなかったら、今のわたしはありません。

わたしのインポート業をおおきく動かしてくれたのは、この旅以外にありません。
農園にはもぅ2年以上行けていません。今年もきっと行けないと思います。でも、あの時の熱い体験は今でもわたしを突き動かす原動力になっています。
現在、次のオーナーさんへと代替わりされたいつか珈琲屋さん。その情熱はしっかりと受け継がれています。店内には、一緒に行ったインドのコーヒー農園の写真を展示してくださっています。



普段、なにげなくくちにしているコーヒー。コンビニで100円で買えてしまうくらい身近な存在のコーヒーですが、実はこんなことが行われているです。コーヒーだけじゃないです、わたしたちのまわりには誰かの努力や情熱でわたしたちのもとへ届けられているものがたくさんあるんだと思います。
深く知るのもたまには、良いものです。
いつか珈琲屋さん、機会があればぜひ足を運んでみてくださいね。


ここまで読んでくださってありがとうございます。
Instagramもしています、ご興味ある方はのぞいてみてください

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