インドでおなかを守る極意と、インド的「下請け文化」の考察-3/3
(今回の記事は、前回の投稿、インドでおなかを守る極意「習慣編」、「道具編」の続きですが、インド的「下請け文化」の考察に関する単体投稿としても完結しています。)
なぜインドはこれほどまでに衛生管理が困難なのだろうか。その大きな理由の一つは、インド的「下請け文化」である、という仮説を置きたい。この文化はカーストという宗教的背景が存在するヒンドゥー教徒に限らず、イスラム教徒や仏教徒も含めて、宗教に関わらずインドの社会・組織文化として地域と人心の隅々に浸透している。インド的「下請け文化」とは、ここでは、「役割を細分化し、苦労が多い仕事を、立場が下の人間にどんどん下ろしていくことを是とする社会文化特性」と定義したい。この「下請け文化」が社会の隅々に浸透していることと、公衆衛生を維持する難しさがどのように関係しているのか。以下が、その仮説の大枠である。
インド的「下請け文化」
⇒汚いものや大変な仕事を下に押し付ける。その行為に対する心理的、社会的な抵抗も少ない。
⇒仕事が下に降りていくごとに、ひとつの物事に関する関係者数が肥大化。⇒それが容易に繰り返されることで、社会の最下層までバリューチェーンのどこかに関与することになる。
⇒下層の衛生レベルが、インドの衛生環境全体に遍く影響する。
インドという世界で如何にして上記の状態が展開されているか、この目で見てきた具体的な事例も踏まえながら解説していく。
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