時計の防水性能は"深い"...
時計の防水性能の話は、まさに冒険と革新のエピソードに満ちています。およそ70~80年の歴史を持つ防水時計は、技術の進化とともにその機能性が高まってきました。それでは、この興味深い歴史と機能的な条件を一緒に探っていきましょう。
防水の重要性
腕時計は精緻な機械の集合体。その内部には微細な部品が組み合わさって正確な時間を刻んでいます。もし、この繊細な内部機構に水が侵入したらどうなるでしょうか。
まず、水分が蒸発して文字盤が曇り、針やダイヤルが水分により損なわれる可能性があります。最悪の場合、ムーブメントに使われる金属部品が錆びてしまい、時計はその機能を失い、正確な時を刻むことができなくなるかもしれません。日常的に水は存在していますし、または、水が伴う特定のシーンを想定してつける腕時計もあります。
このようなリスクを回避するためにも、腕時計への水の侵入を防ぐ防水性能は非常に重要なのです。
防水性能の"深さ"
「防水」という言葉は、時計に水圧がかかったとき、時計内部への水の侵入を防ぐ機能を意味します。日本工業規格(JIS)や国際標準化機構(ISO)によって、この性能は厳密に規定されていますが、両者の基準に大きな差はありません。
JISでは、「防水時計」と「潜水時計」に分類され、それぞれ「気圧(bar)」と「メートル(m)」で表記されます。例えば、100mまたは10barと表示されていれば、水深100メートルまで耐えうる能力を備えていることになります。
日常生活で使う時計なら3気圧で充分ですが、水に頻繁に触れる場合やスキンダイビングをするなら、5気圧以上の防水性能をお勧めします
20気圧防水や200m防水になると「潜水時計」の部類となり、それぞれの使用状況に応じた特別な防水設計が施されています
10気圧防水と100m防水の違い
皆さんお気づきでしょうか。地球上では水深10mにつき、1気圧がかかり、10気圧防水=100m防水となります。しかしなぜわざわざ表記を変えてるのでしょうか?時計の規格という意味でいうと、実は定義が異なるものなんです。
防水 / 10気圧(bar):静止した状態であれば水深100mまでの水圧に耐えられる構造。しかしその位置での動作保証はしない
潜水 / 100メートル(m):水深100m地点の水圧の、さらに1.25倍の水圧に耐えられる構造(12.5気圧)。りゅうずやほかの操作部材の耐外力性試験を通じて、外力による防水性能を保証
上記のような違いがあり、実はこの二つは品質規格と試験項目がまったく異なり、潜水用の方がチェック項目がはるかに多いのです。そのため、防水用の腕時計は潜水用として使用することができません。
防水時計の軌跡
1920年代から防水時計の進化は始まりました。ロレックス特許の「オイスター」は世界初防水となり、裏蓋とリュウズをねじ込み式にし水の侵入を防いだことで有名ですよね。ただ、この時期の防水腕時計の肝心の防水レベルは、具体的なスペックがなく、不明らしいです。推察の域を超えませんが、日常生活防水のレベルとのことです。
そこから技術も進化し、1953年ひBlancpain、Rolex両社から歴史に残る革新的な"ダイバーズ"ウォッチが出ました。ダブルOリング(二重防水パッキン)、回転ベゼル、軟鉄製インナーケースを装備した耐磁構造など、現代のダイバーズウォッチの元祖として数々の特徴を世に出しました。防水性能において大きな歴史的瞬間となり、それ以降、各社ダイバーズを製造し続けて今に至ります。
おわりに
ダイバーズウォッチは、深海への人類の探求心を具現化した製品であり、防水性能の範疇を大きく広げました。その名の通り「サブマリナー」は水中の世界を支配するために作られ、「Fifty Fathoms」は人間が潜れる水深の限界を意味して、名づけられました。
時計の防水性能は、単に技術の進歩を示すものではなく、私たちの活動範囲を広げるためのツールです。時計の防水性能は、探検家やダイバーのみならず、日常生活においても私たちを守り、支えてくれる存在です。深い水の中だけでなく、私たちの生活の中においても「深い」役割を果たしているのです。