クセは悪い?
SNSの広告でこんな文章がありました。
「R◯◯P GOLFでは長年のクセを解消し、
体に負担をかけないスイング作りが目指せます。
あなたのゴルフライフが充実するよう徹底サポート!」
パーソナルトレーニングを受けたいゴルファーを募集する広告のようです。
この文章からすると、
『クセ』があるから「体に負担がかかる」、「充実しない」と読み取れます。
充実しないというのは、恐らく「スコアが上がらない」などネガティブな要素が含まれていると思います。
ここでは、
「クセ=悪いもの」
という印象を受けます。
※違う捉え方ができる場合はご指摘くださいm(_ _)m
でも、クセそのものは誰にでもあり、良いとか悪いというものでもありません。
写真は、バスケットボールの神様と言われる、マイケル・ジョーダン選手。
若い人は知らないかもしれませんが…笑
ドリブルやシュートなどいろんなシーンで舌を出してプレーすることが有名です。
これも『クセ』の一つだと思いますが、ネットを検索しても
「舌を出しているからリラックスできる」
など、ポジティブな意見がほとんどです。
※ここでは、舌を出すのが良いかは置いときます。
上手い選手がやると良くて、下手な選手がやると悪い。
恐らく、下手な選手が舌出してプレーしてると、
「何舌出してんだ!」と言われると思います 笑
何か特徴を見つけ、無理やり因果関係に持っていくというか…
無理やりパターンを作り出すというか…
そういう人が多いように感じます。
例えば、「腕が振れないから足が遅い」など。
腕を振れいてる選手より、振れていない選手の方が
足が速いことだってたくさんあります。
これらの考えになる人の潜在的な価値観、ものの判断基準として、
『これが正しい!』『正解の動きがある!』
『毎回同じ動作をすれば、毎回同じ結果を得られる』
『〇〇選手はこういうフォームだ!』
などと思っている方が多いと思っています。
スポーツに関わっていない人だけではなく、
スポーツコーチもそう思ってそうです。
その理由を聞いても根拠ある返答はありませんし、
それしかないという空気感は出してきます 笑
ディファレンシャルラーニングで有名な
Dr. Wolfgang Schöllhorn(ヴォルフスガング・ショールホーン博士)は、
・動きは常に変動し、繰り返すことはできない。
・動きは個人によって異なる。他人と同じように動くことはできない。
『完璧な動きはない』
と言っています。
サッカーなどの球技ではなく、陸上競技の研究で注目されたと認識しています。
そもそも、人それぞれ顔が違うように、骨の長さ、筋肉のつき方、動かしやすい関節、これまでの経験など、一緒なわけが無いのになぜ動きだけ同じになると思うのか不思議です…
また、ロシアの生理学者、ベルシュタイン(1896-1966)も
運動学習において、『繰り返しなき、繰り返し』の重要性を指摘しています。
NBA選手のステファン・カリー選手も
コオーディネーショントレーニングが、
現在の活躍の大きな要因の一つと言われています。
日本ではどうかというと…
まだまだ色物扱いという印象です。
基本的にクセは無意識な状態で起こります。
女の人が意識的にやると、「あざとい」など言われます…笑
諸説ありますが、そもそも人間の80%以上の行動は無意識下で行われると言われており、あらゆる動作は何かを達成するために効率性を求めます。
大人で毎日同じことしている人はもっとだと思います。
クセ含め、動作はアウトプットです。
なので、クセは「出てくるもの」と捉えた方が
パフォーマンス・スキル向上には効果的です。
また、スポーツ現場では、
アウトプットを無理やり変化させようとする人が多いと思います。
この場合は「クセ」ですが、多くの場合、意識して変えようとします。
クセだけでは無いですが、動作を意識的に変えられるのであれば、
誰もが大谷翔平さんやメッシになれます。
ちょっと飛躍しますが、意識でなんでもできるのであれば、
ダイエットや禁煙に失敗する人はいません。
アウトプットを変化させたいのであれば、
まずはインプットを変える方が効率的です。
そのクセは、何かの代償として起こっているのではないか?
その代償を取り除くためにどんなアプローチをするか?
そもそも、そのクセは全体のパフォーマンスにさほど影響を与えていないのではないか?など、
見極め、解決策の引き出しの多さが
コーチの優秀さを決めると思っています。
最も影響を与える要因にアプローチするのが、自分は効率的だと思います。
日本代表のコーチと話した時、所属している選手の練習動画を見させられ、動作のめっちゃ細かいことを言われました。
内心、「試合中、いつそれ使うん?」と思ってました。
確かに、完全に間違ってるとは言えない内容でしたが…
こういう話を聞くと、パーキンソンの凡俗法則に近いのかなと思ったりします。※以下、Wikipedia
原子炉の建設計画は、あまりにも巨大な費用が必要で、あまりにも複雑であるため一般人には理解できない。このため一般人は、話し合っている人々は理解しているのだろうと思いこみ口を挟まない。強固な意見を持っている人が、情報が不十分だと思われないように一般人を押さえ込むことすらある。このため審議は「粛々と」進むことになる。
この一方で、自転車置き場について話し合うときは、屋根の素材をアルミ製にするかアスベスト製にするかトタン製にするかなどの些細な話題の議論が中心となり、そもそも自転車置き場を作ること自体が良いアイデアなのかといった本質的な議論は起こらない。次に委員会の議題がコーヒーの購入といったより身近なものになった場合は、その議論はさらに白熱し、時間を最も無駄に消費する。
自転車置き場については誰もが理解している(もしくは理解していると自分では思っている)ため、自転車置き場の設置については終わりのない議論が生じることになる。関係者の誰もが自分のアイデアを加えることによって自分の存在を誇示したがるのである。
ものごとの重要性より、自分の知っている話の方が議論が白熱する。
国会の国防の議論より、ワイドショーの不倫の方が盛り上がる…
ちょっと脱線しました…
スポーツなどの動作のスムーズさや効率性を高めるために、
『動きのバリエーションを増やす』ことが非常に重要です。
効果を感じないな。退屈になってきたな。下手になってるな。
などは、身体のサインです。
別の方法に切り替えることをオススメします✨