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筋トレだけでは足りない!「パワーペニア」対策で本当の意味での健康を手に入れる

「最近、階段の上り下りがきつい」「昔のように重いものが持てない」と感じている方も多いのではないでしょうか?
加齢に伴う筋力の低下は、これまでダイナペニアやサルコペニアといった言葉で表されていました。最新の研究(2024年)では、この2つに加え、新しい概念が提唱されています。
これらの違いを知り、健康的な生活を送るためのヒントを見つけましょう。


筋力パワーって何?

筋力パワー(以下、パワー)とは、筋肉が素早い動きの中でどれだけ強い力を発揮できる能力を表す能力のことです。
パワーは、スポーツの世界でも重要な要素です。

例えば、テニスのサーブや野球のバッティングなど、瞬発力が必要な場面では、パワーが勝敗を分けることがあります。
スポーツ選手にとってもパワーの維持は不可欠なのです。

研究では、スポーツだけではなく、年齢を重ねてもこのパワーを維持することの重要性が繰り返し示されています。
最新の研究では、年齢に伴う筋力の変化、そして新しい概念「パワーペニア」について考えます。


筋力の低下!3つの用語と比較

サルコペニア(Sarcopenia)

  • 筋肉量の減少が主な特徴です。

  • 影響: 日常生活での活動能力低下、骨折リスクの増加、基礎代謝の低下など、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

ダイナペニア(Dynapenia)

  • 筋力の低下が主な特徴です。

  • 影響: 握力の低下、立ち上がりが困難になるなど、日常生活に支障をきたす可能性があります。

パワーペニア(Powerpenia)

  • 筋肉の瞬発力(パワー)の低下が主な特徴です。

  • 影響: 転倒リスクの増加、日常生活での動作が遅くなるなど、アクティブな生活を送る上で大きな障害となります。


パワーペニアとは?

パワーペニアは、筋肉を素早く使う能力(筋力パワー)の低下を指します。筋力は単に「どれだけ強い力を発揮できるか」という最大筋力だけでなく、「どれだけ速く力を発揮できるか」というパワーの要素も含まれています。パワーペニアは加齢とともに起こり、特に日常生活や転倒予防、運動能力において大きな影響を与えます。


パワーペニアが与える影響

加齢によるパワーの低下は、特に次のような点で問題となります。

  1. 転倒リスクの増加
    パワーの低下は、転倒リスクの最も強力な予測因子です。握力や最大筋力よりも、筋肉を「瞬間的に使う能力」が重要です。つまずいた瞬間に体を支える能力が低下すると、転倒が大きな怪我につながりやすくなります。

  2. 骨密度の低下と認知機能
    パワーを維持している人は、骨密度が高く、認知機能が良好であることが研究で示されています。

  3. 生活機能の低下
    パワーが低下すると、日常生活での基本的な動作(例:階段の上り下り、素早い動作)も困難になります。


転倒予防にはパワーが不可欠

「週に何回もジムに通って筋トレしているから大丈夫!」と思っている方も多いのではないでしょうか?
確かに、筋トレは健康維持に不可欠な要素の一つです。
しかし、加齢に伴う転倒は、単に筋力が弱いから起こるわけではありません。
パワー、つまり瞬発力が不足していることも大きな原因の一つです。


パワーペニアを防ぐためのポイント

1. 筋力トレーニングにスピード要素を追加する

  • 爆発的に押す/引く動作(コンセントリック動作)は速く、戻す動作(エキセントリック動作)はゆっくり行う。
    例:腕立て伏せ(押し出す動作を速く、戻す動作をゆっくり行う)
    安全かつ効果的にパワーを鍛えられます。

2. 転倒予防トレーニングを取り入れる

  • 素早く足を動かすステップ練習やバランス能力を高める運動。

3. 日常生活での瞬発的な動きを意識する

  • 階段を一段飛ばしで上る、少し速いペースで歩く。


長期的な視点でトレーニングを

短期的なトレーニングプランだけでなく、「10年後も続けられるプログラム」を考えることが重要です。
定期的にパワーを鍛える運動を取り入れることで、長期的な健康を維持しやすくなります。


まとめ

新しい概念「パワーペニア」は、加齢による筋力低下を新たな視点から認識するものです。
パワーを維持することは、転倒や生活機能の向上、さらには認知機能や骨密度の維持にも繋がります。
安全性を確保しながら、爆発的な動作を取り入れるトレーニングを実践することで、健康で強い生活を続けていきましょう。


参考文献
Freitas, S. R., Cruz-Montecinos, C., Ratel, S., & Pinto, R. S. (2024). Powerpenia Should be Considered a Biomarker of Healthy Aging. Sports Medicine - Open, 10(1186)

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