【読書感想文・ハヤブサ消防団(池井戸潤 著)】面白過ぎて「一気読み」ならぬ「一気聴き」をしてしまいました
9月5日に発売されてばかりの「ハヤブサ消防団」をAudibleで聴きました。
面白すぎて17時間の朗読を1週間もしないうちに一気に聴いてしまいました!
主人公はミステリー作家。亡くなったお父さんの故郷に移り住んで、その町の消防団に入隊するというところから始まります。そして、その町で密かに起こっていた事件に巻き込まれていき。。。という内容です。
池井戸作品は大変好きで、半沢直樹シリーズ、陸王、ノーサイドゲームなどを読んできました。
今回は、それらの作品のような会社組織ではなく、「田舎町という組織」が舞台でした。
こちらの作品を読んですごいなと思ったのは、
・頭の中で情景を思い浮かべるにちょうど良い情報量
・伏線の散りばめと回収
です。
頭の中で情景を思い浮かべるにちょうど良いというのは、人物の外観や服装、カフェや居酒屋などの状況などが非常に想像しやすい文章を書いてくれている、という感じでした。聴きながら脳内でその情景が想像できるというか、そのような感覚でした。「ほっこり」「恐怖」「喜び」みたいな人間の感情も、「暑い」「寒い」「心地良い」みたいな季節感まで想像しやすかったです。小説のことはよくわからないのですが、このことが映像化しても人気が出る要因の一つなのかな〜なんて勝手に思いました。
伏線の散りばめ方も回収の仕方も自分にとっては逸脱でした。前半は伏線をまくような感じで、聴きながら
「これはどこで、どのように回収されるのだろう?」
などと考えながら、物語の方向性に選択肢を持たせるので飽きません。そして、その回収は一気にやってくることが多く、その「一気」が断続的にきて、最後に一番でかいやつがくるみたいな感じで本当に面白かったです。
このような書き方のエッセンスは、おそらく研究計画書や論文を書くときも役に立つだろうことが考えられます。例えば
・頭の中で情景が思い浮かべられる程度十分な情報量を提供すること→情報の「離散」がなく川の流れのように読み進めることができる。
・伏線の散りばめと回収→論文などでは伏線というよりは、もっとわかりやすい道筋みたいなものだとは思いますが、マイルストーンに順序よく到達していく様を見せることで、思考の整理を促す。
みたいなことかなと思いました。
論文も研究計画書も、小説のごとく面白く書けたらいいな〜と思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。