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コペンハーゲン おしゃれなオフィスと素敵なレストラン。投資家もイケてる。

1)朝からクレームをうける

フライトは7時15分発だ。ホテルを出発は5時であった。

ロビーで「おはようございます」と言うと、社長からはさっそくダメ出しだ。

まずベルボーイをおれの部屋に向かわせる。そしてチップをあげる。なぜ、やってない。それが秘書の仕事だ。おい」と苦情を言われる。朝一番のクレームはしんどいものだ。

コペンハーゲンに到着する。IRツアーを企画してくれた野村証券とIR部長が待ち構えてくれた。さっそく、野村証券が用意してくれた車でホテルに向かった。

ホテル到着後、ランチまで時間があり、各自ホテルで待機することになったため、ぼくは寒いのを我慢しながらコペンハーゲンの街を歩くことにした。

雨と雪交じりで、気温3度のなか、ふらふらっと街を散策する。コペンハーゲンの街はとてもオシャレだ。商品や建物の色合いは、パステルカラーを使ったものが多く、オレンジ、グリーン、ピンクなど華やかに色彩豊かである。

それもケバケバしさはなく、全体と調和がとれており、センスがある。小物や食器なども、日本にはないセンスで思わず手に取ってしまう。20分もすると体が冷えてしまってホテルに戻ることにしたが、いつまでも歩いていたい街並みだ。

街並みがすばらしいだけでなく、北欧料理も良い。デザイン豊かな国だからか、ひとつひとつにこだわりがあるのだろう。ソースは濃厚で、肉料理もジューシーでうまい。贅沢なランチを食べられた。世界一美味いレストランはコペンハーゲンにあるNomaと言われている。そんな度量をもつ北欧は奥が深い。日本では北欧料理を食べる機会は少ないが、改めて探して食べにいってみたいものである。

2)コペンハーゲンで投資家訪問

ランチが終わると、投資家訪問だ。今日はデンマークの年金基金にお邪魔する。さっそくオフィスビルに5人でのりこみ、受付ロビーで名前を書く。

受付のソファーに座りながら、どんな人が出てくるのだろうと楽しみにしていると、美女が登場した。

事前情報として「ベテランの初老の男性が投資家のイメージです」という話であったので、みんな「おお!」という顔をして、ホクホクしながらオフィスに入っていく。野村証券2名は受付で待機し、社長、IR部長、ぼくの3名で入る。

オフィスで席につくと社長がさっそくプレゼンだ。「30分くらいで大まかな説明をさせてくれ」と言いつつ、結局1時間くらい話していた。

この人は話し始めると時間を無視して話し続ける癖がある。パステルカラーのボーダーセーターを着た美女との質疑応答の時間は活発にならず、ひとことふたこと質問して終了した。

3)コペンハーゲンを散策

本日は、一件だけの訪問のため時間に余裕があり、みんなで旧市街フラフラと探索する。その流れでコペンハーゲンで有名なミュージアムに一同入館した。

入ってみると、驚くほど小さく、こじんまりしたミュージアムだ。そのメインルームには、タッチパネル式のテレビが10台ほど設置されており、それをタッチすると歴代のノーベル受賞者が閲覧できる。

そのスクリーンを1900年から歴史を追ってみると、経済学賞が1960年代から登場し始めたことに気付く。

物理、化学、などは昔からあるが、経済学はつい最近登場した項目のようだ。いまは経済が人間社会の根底にある。

しかしながら、経済学が学問になったのはここ数十年であり、また経済の軸であらゆるものが語られるのは最近のことなのだろう。逆に言えば、経済という概念は、以前はそこまで強くなかった。

そこには、なんらか別の軸で社会が構成され、経済活動以外の営みがあったはずだ。

人間は、今の環境がすべてだと思ってしまう性質がある。長い時間軸で過去を振り返り、そして未来に活かすことは大切な思考。

経済という概念がない社会に思いをよせ、あれこれ考えて、そんなことを思った。遠い未来では2013年では考えもしない新しい概念が社会の根底に根付いているのかも知れない。

社長も熱心に画面を覗いている。この人は本当に好奇心旺盛だ。感銘を受けた言葉を手帳に書き留めており、後で話してくれた。2つのフレーズだ。

The ship would keel over and sinks without heavy cargo on board, likewise our life goes smooth with a lot of pain and suffering.

〇Life is just like a bicycle, if you don’t like to fall down, just keep pedaling.

人生についてのフレーズだ。同じようなことを徳川家康が「人の一生は 重き荷を負うて 遠き道を往くが如し」と言っていた。世界中、同じようなことを思うようだ。

晩御飯は近くのレストランで北欧料理。これも驚くほど美味かった。晩御飯も食べ終わり、さぁ寝ようとホテルのロビーで解散しようとしたら、「ウィスキー飲みましょうか?みなさん、」とホテルのバーで小一時間ほど、社長を囲んであーやこーや世間話をする。

バーを解散したのちも「おれの部屋は変わっているから見に来いよ、おい」と言われ、そのまま部屋に入ると「もう一杯」ということになり、最後まで付き合って、その日を終えた。この日も長い一日だった。

4)コペンハーゲンの投資家訪問。出張最終日

今日は投資家を2件訪問だ。

このところ、コペンハーゲンに日本企業が投資家訪問に来ている。もともと投資が集まっているのはロンドンだ。ロンドンが金融中心地でヨーロッパの投資家7,8割はそこにいる。

ただ、激戦区となっているため、当社はロンドンを避けて、各国の投資家を別々に回った方が目立つし、効果的だという判断からIRツアーを行っている。

 当社には、大型投資の予定がある。プラントに巨額の資金が必要になる。いまは小さな投資額で、自腹の資金で投資が行われているが、今後、順調にプロジェクトが進んでいけば、いずれ社運をかけた投資を行わざるを得ない。この資金をどのように捻出するか、大きな経営課題だ。

このIRツアーがその投資を引き出すための根回しになっているかは分からないが、いざとなったときに効いて来るのかもしれない。

 一件目は、総合格闘家ヨアキムハンセンみたいな人物が出てきた。落ち着きのある紳士だ。社長は例のごとく、30分と言いながらも1時間のプレゼンをした。ヨアキムは途中質疑を入れながら、事業に関しての情報を噛み砕いていく。

Hmm interesting.とは言っているものの、本当のところは分からない。反応が良い所は、そのプロジェクトと製薬分野だ。分かり易くキャッシュになる可能性がある分野を投資家としては望むのだろう。

 それにしても会議室が洒落ている。木目調の部屋に、派手すぎない赤色の椅子と薄い木目色のテーブルだ。テーブルの上には飲料水とコップがある。その水の入れ物とコップも、とてもイケている。日本の場合は、どこにでもあるイトーキの机と椅子、テーブルにあるのは紙コップだ。全然違う。こんなオフィスで働きたいものだ。

 このようなオフィスで仕事をすればクリエイティブな意見やアイデアが出てくるだろう。生活のなかにおしゃれ感を入れるのは大切だ。日本はすべてが画一的なデザイン、街並みはライオンズマンション、かっこよくてプラウドだ。この辺は見習った方が良いかもしれない。

経済成長が極端すぎたためか、日本は経済以外を考えることはなかった。もはや経済成長は過去の様にはいかない、これからオシャレや空間の豊かさなど経済以外の部分を大切にすることに軸足をおいていくべきだと思う。

 2件目の投資家は韓国人OHさんだ。1時間程度のやり取りは同じだ。
しかし、社長のプレゼン能力はスゴイと思う。日本語で会社のことを1時間話し続けるのも至難だが、これが英語であればなおのこと。彼は66歳である。ぼくの32歳もうえであるが、将来このレベルにたどり着くためには日々の努力は欠かせないだろう。それでも果たして追い付けるのか、考えてしまう。

 2件目が終わり、街のはずれにあるレストランへ。レイクサイドにあるロッジ風のオシャレなレストランだ。食べたのはELK、大鹿だ。肉もうまいが、なによりソースがうまい。もうこの年齢になれば、大概のものを食べた。うまい店でも、それほどの感動はないが、この店の味は経験したことの無い美味さがある。北欧料理はメジャーではないが、奥が深い。

 うまい昼飯をたべて、ホクホクしながらコペンハーゲン空港へ。このフライトでやっと帰国できる。一週間ほどのツアーでであったが何事も無くて良かった。

社長は一連のツアーに満足したようで「お前は俺の中東担当秘書だ。おい。」とピーナッツを食べながら爆笑していた。

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