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木彫りのまち井波から、新たな木の魅力を届ける家具職人|種田怜さん
木材そのものの表情を大切に、家具作りを追求する木工家の種田怜さん。2024年から井波の古い倉庫を工房として借り、自らデザインした家具を製作・販売しています。種田さんがこの道を選んだ理由から井波での新しい挑戦まで、お話を伺いました。
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種田 怜(たねだ れい)さん
1993年生まれ。愛知県出身。高校卒業後に岐阜県高山市の家具職人訓練校『森林たくみ塾』で2年間学び、その後、福岡県や岐阜県の家具メーカーで技術を磨く。働く傍ら、2018年から個人ブランド『TANEKAGU』を半独立で立ち上げる。2024年に本格的に独立し、井波に工房を構える。現在、オンラインショップを中心に作品を販売中。
ーーー本日はよろしくお願いします。最初に種田さんが木工の世界に興味を持ったきっかけを教えてください。
もともとは大工さんに興味がありました。家を建てる姿や、テレビで見た宮大工の仕事がかっこよくて、ものづくりの世界に憧れていました。それから高校時代に桐ダンスの工場見学をする機会があって、精巧な技術を目の当たりにしたときに「こんなに繊細なものづくりの世界もあるんだ」と感動したんです。それがきっかけで家具職人を目指すことにしました。
ーーー家具作りの技術はどこで学んだのですか?
高校卒業後、岐阜県高山市にある『森林たくみ塾』という訓練校で2年間学びました。塾では実際に商品を製作しながら住み込みで学ぶ厳しい環境でしたが、作品を完成させたときの達成感が何より大きく、家具作りの楽しさを感じる日々でした。
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ーーー卒塾後から独立まではどのように歩んできたのですか?
卒塾後は名古屋で2年ほど自由に過ごした後、福岡県の個人家具工房に就職しました。ここでは伝統的な木組みの技術だけでなく、金物を使った手法も学びました。その頃から同じたくみ塾に通っていた仲間が次々と独立する姿を見て「自分も挑戦したい」という気持ちが強くなり、勤務後や休日に自分でお皿を作ってネット販売を始めました。
5年間働いた後、独立を見越していることも承知の上で飛騨高山の某有名メーカーからオファーを受けて再び岐阜に戻り、3年間働きました。50年、100年と生きてきた木に敬意を払い、個々に見合う丈夫な構造を追求する考え方を学び、木材そのものに対する魅力をより強く感じるようになりました。
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ーーー家具の産地として有名な飛騨高山を出て、井波を拠点に選んだのはなぜですか?
最初は機材も揃っていて知り合いも多い飛騨高山で独立しようと動いていましたが、雪が多く寒いのでもっと住みやすい場所を探し始めたんです。ネットで富山県内で物件を探しているうちに、今の井波の倉庫を見つけました。井波のことは何も知らなかったのですが、実際にまちを歩いてみると古い建物がたくさん残っていて、美しい景色に惹かれましたね。また、NAT.BREWさんやhaiz coffeeさんのように若い人たちが集まって活気を生み出していることを知り、「ここで挑戦しよう」と決意しました。
井波には木彫りの職人さんが多く、職人文化が息づいている地域だということも知って、ものづくりの環境としての魅力をさらに強く感じました。人も優しくて、自然も豊かで、水も空気もきれいなところも気に入っています。
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ーーー洗練されたデザインが印象的な種田さんの作品ですが、こだわりを教えてください。
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デザイン面では昔の家具や北欧家具のシンプルな美しさに影響を受けており、そこに自分なりのオリジナリティを加えています。
特に無垢材にこだわっています。木そのものの魅力が一番引き立つ素材だと思うからです。また、節があるなど一般的には「美しくない」とされる木材でも、それを活かしたデザインで魅力を引き出すよう工夫しています。経年変化も楽しんでもらえるよう、長く愛用できる家具作りを心がけています。
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ーーー今後はどんなことに挑戦していきたいですか?
自分のショールームを井波に作りたいですね。家具を実際に見て触れてもらえる場所が欲しいです。いずれは井波の木彫り職人さんとコラボレーションして、地域の文化と自分の技術を融合させた新しい作品を作ってみたいです。職人文化が息づく環境で挑戦ができるのは、本当に幸せなことだと思います。
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種田さんの家具作りへのこだわりは、モノへの向き合い方とサスティナブルな暮らしのヒントを届けてくれそうです。職人文化が息づく井波での挑戦がどんな形で実を結んでいくのか楽しみです!
【TANEKAGU Instagram】
これから井波でお店を始めようとしている人たちを発信することで応援する『いなもんジャーナル』。次回のご紹介もお楽しみに!
取材・執筆:徳田琴絵