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お互いの夢をカタチに。古着とカフェと、心の“雨宿り”|岡沢吉裕さん・知奈さん

2025年、古着とカフェのお店『KaraKasa』が井波のまちなかに生まれようとしています。アパレル業界で経験を積んできた岡沢吉裕さんと、憩いの場をつくることを夢見ていた知奈さん、それぞれの“叶えたい”が重なったお店です。なぜ井波を選び、どんな場所を目指しているのか。お二人のこれまでの歩みと、これからの想いを伺いました。

岡沢 吉裕(おかざわ よしひろ)さん
富山県高岡市出身。高校時代から独立を目指し、金沢文化服装学院でファッションビジネスを学ぶ。18歳からアパレル販売に携わる。2024年6月、古着とカフェを融合させた店『KaraKasa』として出店活動をはじめる。店主。
岡沢 知奈(おかざわ ちな)さん
山形県出身。大学で美術史を学び、“つくる”ことへの憧れを抱く。2020年に富山へ移住し、場づくりの仕事を経験する。人が集い、心安らぐ場づくりを目指し、夫とともに『KaraKasa』を運営する。


ーーー本日はよろしくお願いします。お二人は現在高岡市で古着とカフェのお店「KaraKasa」を開業されていますが、お店を持ちたいと思うようになったきっかけは何だったのでしょうか?

吉裕さん:もともと洋服が好きで、高校時代からよく買い物に出かけていました。人見知りな性格で普段の会話は得意ではないのですが、アパレルショップでは自然に店員さんと楽しく話せたんです。好きなことを共有するコミュニケーションに感動を覚えて、「自分もアパレルのお店を持ちたい」と思うようになりました。高校3年生の頃から独立を意識して、ファッションビジネスを学べる学校へ進学しました。卒業後も販売員として経験を積みながら、夢に向かって準備を進めてきました。

知奈さん:私は大学生の頃から「何かをつくる人になりたい」という憧れがあり、職人さんの工房を訪ねることもありました。でも、自分が本当につくりたいものは何なのかを考えたとき、幼馴染が不登校になった時のことを思い出したんです。「学校でも家でもない、安心できる居場所があれば、彼女だけじゃなく同じ気持ちを抱える子どもたちの力になれるのでは」と考えるようになりました。あの時の私は力になれなかったけれど、いつか心が落ち着ける“憩いの場”を自分の手でつくりたいと考えるようになりました。

ーーーそれぞれにやりたいことが明確にあったんですね。具体的にどんなプロセスを経て、お店をスタートさせたのでしょうか?

吉裕さん:開業を決断したきっかけはコロナ禍でした。当時勤めていたアパレルショップも厳しい状況で、「いつか独立するなら、今挑戦したほうがいいんじゃないか?」と考えるようになったんです。特に、若いうちのほうが思い切ったチャレンジができると思いました。

知奈さん:前から「30歳になる頃にはお店を持ちたい」って言ってたもんね。
私たちのやりたいことは少し違っても、「自分たちの場を持ちたい」という気持ちは共通していました。そこで、2024年6月から出店活動をはじめました。

お店をやるなら、古着の販売だけでなく、いろんな人がつながる場所にしたいと思っていたんです。そこで、カフェを併設したり、駄菓子を置いたり、子どもから大人まで気軽に立ち寄れる工夫を取り入れました。

吉裕さん:店名の『KaraKasa』には、「ちょっとした雨宿りのように、誰でも気軽に立ち寄れる場所にしたい」という想いを込めています。服に興味がある人もない人も、フラッと遊びに来てもらえたら嬉しいですね。

ーーー実際にお店を始めてみて、嬉しい瞬間はどんな時ですか?

吉裕さん:お客さんと大好きな服の話をしている時間が、本当に楽しいですね。最初にも言いましたが、普段は人見知りな僕だけど、洋服の話になると自然と会話が弾むんです。自分が好きなものを共有できる瞬間は、何より嬉しいですね。

知奈さん:ほんと、服の話をしているときはニコニコしていて表情が全然違うよね。
お店では服を見に来た人とカフェ目的の人が、たまたま相席になって話し始めることもあって。そんなふうにお客さん同士がつながっていくのを見たとき、「こういう場を作りたかったんだ」と実感しました。

ーーー今回、新しい挑戦の拠点として井波を選んだ決め手を教えてください。

吉裕さん:井波にはこれまであまり行ったことがありませんでした。ある日、気になっていた井波の『haiz coffee』さんに行ったんです。その帰りに何気なくまちを歩いてみたら、「面白い場所かも」と感じました。

知奈さん:私は和の文化が好きで、井波のまち並みにも惹かれました。『haiz coffee』さんや古着屋の『Lantern』さんといった、おしゃれで新しいお店が次々とオープンしていて、挑戦している人が多いのも魅力的でした。「ここなら、自分たちらしいお店ができるかも」と思って物件探しを始めたんです。

私たちの場合、お店と住居が一体となるので、「住むイメージが湧くかどうか」も大切でした。何度も井波を訪れるうちに、地元の方々が気さくに声をかけてくれたり、ふとした会話から地域の温かさを感じたりして。暮らしのイメージがどんどん明確になっていきました。

ーーー現在はどのような準備を進めていますか? 今後の意気込みについても教えてください。

知奈さん:住居の1階を改装し、お店としてオープンする計画を進めています。ただ、まだ住み始めたばかりで、まずは生活環境を整えることに精一杯の状態です。2025年中のオープンを目指しています。

吉裕さん:地域の方々とのつながりをもっと深めていきたいですね。今はまだ十分に交流ができていないので、ショップカードやチラシが完成したら、挨拶を兼ねて地域を回ろうと思っています。

知奈さん:井波は、住んでいる人たちがまちの魅力をつくっているんだなと強く感じられる場所です。私のお気に入りは、早朝の瑞泉寺の鐘の音が響く瞬間です。暮らしがあり、商いがあり、その営みの中で生まれる美しさがある。そんな井波の魅力を感じてもらえるような、地域の方にも親しんでもらえる場をつくっていきたいですね。


雨宿りのようにふと立ち寄れる場所、そこから生まれる人と人とのつながり。井波という土地でそれぞれの“好き”をカタチにしながら新しい憩いの場を育てていく歩みが、どんな風に広がっていくのか楽しみです。
KaraKasa  Instagram

これから井波でお店を始めようとしている人たちを発信することで応援する『いなもんジャーナル』。次回のご紹介もお楽しみに!

取材・執筆:徳田琴絵


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