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「新規就農者いじめられる」があるあるという話。

4月に夫の新規就農の夢を叶えるために地方移住した我が家。

夫は研修先の農家さんと相性が合わず、研修が取り消しになり、さらに研修を取り持っていた市からも次の助言がもらえなかったため、現在は無職。その日暮らしのアルバイト(ピザの宅配など…)をしながら、次の就農の機会を探している日々です。それについての経緯はこちらの記事をご参照ください。

うまく就農できなかった原因は土地と支援制度〜新規就農の最低条件〜|りゃんず@愛媛へ移住した一家 (note.com)

そのような中でも、あちこちのイベントに子供を連れて参加している私。その中で、他にも新規就農のために移住してきたという方に出会うことがあります。そこで分かったのは、

「新規就農者はいじめられやすい!」

ということでした。もともとその土地の人ではないし、新人で知識も何もないし、田舎ではあるあるの話なのかもしれません。しかし、その程度が異常なのです。

トラクターが倉庫に置きっぱなしであれば、「今日はサボってたね」と言われ、草刈りを少し休めば「あそこは草を生やしっぱなしで管理がなってない」と言われ、ホースがきれいに巻けていなければ「ちゃんと見て身体で覚えろ」と言われ、返事が小さければ「誠意がない」と怒鳴られ…

それを気にしないメンタルの人は良いのですが、そうでなくても、これが毎日繰り返されると、誰だって病んでしまう気がする。

何が悪いのか言葉で説明されることはなく、とにかく嫌味を言われたり、怒られるばかり。取り持ってくれる上司も、愚痴をこぼせる同僚もいない。畑が家から近ければ、自宅に帰っても続くネチネチ攻撃……

鬱になって辞める方が珍しくないどころか、自殺してしまった方もいるそうです……

さらに新規就農者を襲う荒波はメンタル面だけではありません。

農家さんに弟子入りしたあとの研修中の時給は最低賃金(田舎なのでもちろん1000円以下)。向こうの言い分では「おれたちの時代は支援金なんてなかった。お前たちは恵まれている」。……うん。恵まれているというほど足りてはいないのですが、百歩譲ってこれはまだ耐えるとしましょう。

そして2年間研修を耐え忍び、独立するために土地を譲ってもらいます。しかし、農機具をしまう倉庫がない。そこで、その農家さんに今まで利用していた倉庫を引き続き使わせてもらえるようにお願いするのです。

すると、「わかった。月6万円ね。」

倉庫のレンタル代に年間70万円!!家賃より高い!!

もはや年貢を納めろと言わんばかりの強者による搾取です。しかも、そんな話が一部ではなく、ゴロゴロあるんですよ。マスコミも営業も介護も、それぞれ闇がありますが、私がこれまで垣間見たどの業界よりも闇が深いと感じます。

そんなことで新規就農者が四苦八苦している横で、小さな農家さんは高齢化のため農家を辞めて土地をならして売り、一次産業は衰退する一方……日本の農業の衰退を少しでも懸念している皆さん。その懸念は一歩ずつ現実になっています。それを今、この目で見ています。

新規就農者を増やすためには、経済的な支援は多少はもちろんですが、まず何よりも、既存の農家さんへ近代ビジネスの思考方法や新人教育論を教え、それを監視・仲介する人を間に挟んでサポートしてあげる必要があると思います。

私は長年、介護の業界にいて、現場ではそれなりに先輩につらく当たられたことはありましたが、しっかりした教育制度がありました。相談できる上司もいたし、自分のスキルアップを実感できたし、周りに何を言われてもそれ以上のものが自分に返ってきていたので続けてこられたし、今もこの職業が大好きだと思えています。

だから、農業の世界も、教育制度が整うだけで、大革命を起こせるのではないかと思うのです。体力勝負なわりに低収入な仕事だったとしても、それでもこの仕事ならではの魅力があって、やってみたいという人はいるはず。そこに教育が加われば、確実に変わっていけるんじゃないか。手始めに自治体やJAが既存農家さん向けにセミナーみたいなのを月1でやるとかでもいいと思うんですが。そんなのも難しいのかな。

そのうち我が家がそのテコ入れのできる立場にでもなれれば良いのですが、そんなこんなの壁で振り出しに戻っている真っ只中なので、今できることをやりながら一歩ずつ進んでいきたいと思っている所存です。

いただいたサポートは、新規就農にかかる事業費と、田舎での暮らしや子育てを充実させるための地域貢献活動に使わせていただきます!