紙マルチで農薬を使わずに育てます!
「農薬を使わずにお米を育てる」って、どうやっているんだろう?
そんな風に思ったことありませんか?
稲ほ舎ではコレを使ってます。
紙マルチって知ってますか?怪しいやつじゃないですよ(笑)
この筒に巻かれている黒いものが「紙マルチ」です。
一体何に使うのかというと、田植えに使うんです、こんな風に。
現在、紙マルチを使った田植えは、無農薬農家さんで広がりを見せているそうです。マルチとはマルチングの略で、植えた植物の地表面(株元)をビニールなどで覆うこと。
そして、紙マルチによる田植えの最大のメリットは「除草作業の軽減」です。
以前、社長に「農薬を使わないお米を作るときに一番何が大変ですか?」と聞いたら「雑草との闘い。ほんっっとにしんどいわ…」と遠い目をして答えてくれました。
大変すぎて、いや、ほんっとに大変なんだよ…ってその言葉しか言ってなかったくらい(笑)
雑草は生命力が強いし、田植えしてすぐ生えてくる。
稲刈りまで3、4回くらい除草しないといけない。
もちろん農薬は使えないので、時間と人手をつぎ込むしかありません。
(専用の除草機がありますが、稲と稲の間に生えている雑草だけをとるのは難しく、稲を傷つける可能性もあるので気も遣う)
炎天下の中の雑草との闘いを想像すると、農家の方々に頭が下がります。
その過酷な除草作業軽減のために導入したのが、この紙マルチ。
専用のトラクターを使って、紙マルチを田んぼに敷いて苗を突き刺すように田植えを行います。
(↓こんな風に設置してます)
紙マルチがあるので、苗の部分以外には太陽光が当たらず、先に稲が成長してくれます。紙が日光を遮断することで雑草の生長を抑えることができ、除草作業の負担を軽減してくれるそうです。
紙マルチはゆっくりと60日くらいかけて自然分解されるらしく、最終的にはなくなります。この紙は化学薬品を使っていないJAS対応の再生紙だそうで、触ってみるとパリパリしていました。
書いてみると「ただ専用の紙を敷くだけ」なんですが、とーーっても手間とコストと時間がかかるそうです。
〇風などで紙マルチがまるで踊り狂うように、はがれたりめくれたりする。
→直しにいかないといけない
〇途中で紙マルチがなくなったら、田植えの途中で交換しないといけない。
→何回も止まって、交換して…と時間がかかります。ひとつの田んぼあたり、3倍くらいの時間がかかるそう。田んぼの広さにもよりますが、1本の紙マルチで1往復できるかなーくらい。
〇紙マルチそのもののコストがかかる。
〇専用のトラクターが必要
→今回は近くのお仲間からお借りしました。紙マルチトラクターは通常の田植え機よりも横幅が短いので、その分往復する回数も増えるそう。
↓田んぼの真ん中でなくなったので、交換中のマッチさん。
それでも、除草作業をするよりはいいそうです。おそるべし、雑草の力…。
笑顔のへーさんとマッチさん。
「こっち見てくださーい」と言ったら、ちゃんとサングラスを外してくれる優しいへーさんと、照れくさそうに笑うマッチさん。
以前の記事でマッチさんはトライアストロンが趣味と書きましたが、マラソンだったみたいです(笑)わたしの脳内で勝手に盛られてしまいました(笑)
でも体力があるのは本当ですよー!
*
ここからは、わたしの個人の見解ですが…
「安心安全」って、まるで一つの言葉みたいに使われてしまいがちですが、分けて考えないといけないと思ってます。
「安全」は数値や言葉で表せるもの。
手につかむことはできないけれど、視覚化できるし根拠のあるもの。
だけど「安心」は目に見えません。
安心は別の言葉で言えば「信頼」だと思います。この人が作ってくれているなら大丈夫という感情は、決して数値では表すことができません。「顔の見える関係」ともいえるかもしれません。
安全と安心は別物ではあるけれど、リヤカーの両輪のように繋がっているとも思います。(リヤカーって表現古いかもですね笑)
どちらの輪も大事だし、どちらかが大きすぎたり小さすぎたりしてもいけない。バランスが大事だと思います。
口に入れても安全な食べ物を作っている責任感。
こんな風に作っているんだと正直に見せることで与える安心感。
その両輪を意識して進んでいった跡に、何かが残っていくのかもしれません。
季節は必ず巡ってきます。でも今年と全く同じ来年はやってきません。
「以前と同じ」に戻ることの難しさは、今誰もが感じていると思います。
だからこそ、以前と同じではない、よりよい今を目指す必要があるのだろうと思っています。
今あるこの環境を守り、次の世代に繋げていくこと。それが農業の役目なんだろうなと、社長の話を聞いたり、農作業チームの姿を見て思います。
「いつやるの?!今でしょ!」と思いながら、今自分にできること、お米を通して見えること、感じたことを発信していきたいと思っています。
先日、どろんこ遊びと田植え体験をしにきてくれた近所の幼稚園の年長さんたち。子供たちにどんな未来を残せるかは、今の私たち世代にかかっているなと感じる日々です。
おいしいお米ができますように。