呪い解ける系ものがたりの傑作2選
仕事も社交も辞めて家にいた10か月間、一番したのは読書。
家の前、山ドーンの田んぼ道を、歩きながら本を読んだ。
本の魔法がこの時期もわざとらしく炸裂。
https://note.com/inaho829/n/n6aa66f34a483
知らずに手に取ったのに同じテーマが続いたのが
「呪いが解ける系ファンタジー」
1冊目は「かるいお姫様」ジョージ・マクドナルド
ジョージ・マクドナルド!「お姫様とゴブリンの物語」の作者さま!
「不思議の国のアリス」のルイス・キャロル一家と親交が深く
「ナルニア国物語」のC.S.ルイスなどに影響を与えた人
・・そんなこと知らず中学生の夏、気仙沼の本屋でゴブリン購入。
今回その本が本棚に見つからなかった時に泣いた自分に驚いた。
夏休みの気仙沼という宝の一部なんだな。無事見つかった。
さて、かるい姫。
彼女がかけられた呪いは「心身が軽い」という軽そうなもの。
本人には何の問題もなく、ふわふわ浮かんで楽しく暮らしている。
彼女に恋する王子様も、軽い。
彼女の笑顔が見たいから、という軽い理由で、命がけの仕事を
ヘラヘラと引き受ける。そして本当に、命を懸ける。
だって彼女が好きなんだもん。その軽みが逆に、深み。
2冊目
「さよなら、『いい子』の魔法」ゲイル・カーソン・レヴィン
再版されたタイトルは「魔法にかけられたエラ」で
映画化もされたよう だけどたぶん、本は越えてない。
去年読んだ本のbest3に入る。
途中活躍する意地悪なあんちくしょー部分は早送り。
強さユーモア賢さまっすぐさを持つエラがかけられた魔法は
「従順」。それがどれほど、辛いくさりか。
王子との仲良くなり方が最高で、けれど彼に危機を招かぬよう
彼女は一番の望み、を犠牲にする。
魔女にかけられた呪いが解ける話は例えば「カエルの王様」
「白雪姫」「美女と野獣」他、多数。
カエルを壁にぶつける、王子がキスする、野獣を心から愛する
など、解ける方法は色々あるけど
今回出会った解き方はどれも、「命を懸ける」だった。
物心ついた時からファンタジーを信仰してきた私は
https://note.com/inaho829/n/n68bfc4d628c8
この彼女たちと同じことをしてしまう。
夫と理解し合うことに全力以上を出し
力尽き
「私が死んだらわかってもらえるなあ」と望み
最後の話し合い、の後の4日間隔離、で夫の耳が急に開き
話がついに通じるようになった。
大切なものに命を懸けて、命を失うか得るかは半々かな。
例えば人魚姫は王子様と知り合うために声を失い
結局、命も失ったけれど
全く幸いなことに、命も、夫も得ることができた。
「なぜそこまで?」と言われても
一番大事なものなしに長生きしてもしかたない、という価値観
なのだな。
命を懸けて良かった。一番大事と思える人と、
おとぎ話の中でhappily ever afterに生きている。
(今のところ)