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戦わない生き方〜プロローグ〜

「勝負なんてもうしない」

そう決意したのは、中学2年生の時でした

あれは地区新人戦の個人戦
同じ学校の同級生と準決勝で戦った時のことです
試合中に誤って相手を強打してしまい、彼女がしばらく痛さを堪えていたのが気になっていました

結果として私が勝ったのですが、いつもの練習のように、試合終了後に駆け寄り「ごめん、大丈夫だった?」と声をかけたのです

すると彼女は、涙を溜めた目でグッと睨み、
「勝った人にごめんって言ってほしくない」
そう言って背を向けて去っていきました

当時の私は、何が起こったのか全く理解できませんでした

いつも言っていることなのに
なんで私が睨まれるの?
私が勝ったから?負ければ良かったの?
勝ったことで 敵意を向けられるなんて
勝っても全然嬉しくない
試合に何の意味があるの?

・・・もう勝負なんてしたくない

彼女に睨まれ背を向けられたことが一番ショックで、決勝戦は涙が止まらず泣きながら臨んだのを覚えています

勝負は、必ず負ける人がでます

もっと上手くなりたい、強くなりたい、そう思っているのなら、次は負けないように頑張ろうと思うかもしれません

ですが私は
上手くなることと 勝敗をつけられることは別物と感じていました
試合は緊張するし 応援するのはいいけど応援されるのは重荷
ずっと練習でいいのに
そう思うタイプでした

勝ち負けが嫌いなのは、裏を返せば 勝てない勝負は絶対やらないという、究極の「負けず嫌い」という説もあります(苦笑)

そんな別の視点から物事を考えられるようになったのは、ずっとずっと後になってからでした

私は、中学2年生のこの出来事をきっかけに
これから先、戦わない生き方ができないのか
そう考えるようになりました


今の生き方を選ぶことになった「出来事」が
みなさんにもあるのではないでしょうか

あの時 傷つき悲しんだことには
きっと大切なメッセージがあると思うのです

少し歳を重ねて 優しい眼差しでもう一度触れることができるのでしたら
そっと あの時の自分を抱きしめてみませんか


今日も一日 優しい時間が過ごせますように


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