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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.100 映画 スティーブン・ザイリアン「ボビー・フィッシャーを探して」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 スティーブン・ザイリアンの「ボビー・フィッシャーを探して」(1993/米)についてです。

題名はよく聞く作品なので一度観たかなと思っていたらまだ未見だった。

改めて観てみると、俳優陣もよく映像も美しく構成もうまく、”良きアメリカ映画”と言う雰囲気を持っている。

そうアメリカって派手なハリウッドだけでなく、このような落ち着いた良い作品もコンスタントに作っているところが強みですね。

チェスの映画、ボビーフィッシャーの再来と言われる天才少年のお話。

チェスの試合、持ち時間を測る時計が横にあるが、それをバンバン叩く音がとても印象的。

こんなにエネルギッシュでスピード感のあるチェスは、いろいろな映画でチェスはよく出てくるが初めて見た。

そして主人公の少年の純粋なキラキラ光る瞳の美しさが、またこの作品の純度を高めていると思う。



物語は、ニュース映像で語られる。1970年台チェスの世界選手権でボビーフィッシャーはロシア人を破り世界チャンピオンに。

全米中が熱狂的に若きチェスの天才を迎えるが、次第に彼は反政府的な発言、試合をボイコット、奇行を繰り返し、やがて姿を消した。

それから現在に、7歳の少年ジョシュは、公園で賭けチェスをするホームレスの黒人の男と出会う。彼の激しい試合に魅了され、ジェスは興味を持っていく。

両親が彼の非凡な才能を見つけ、親にはもう教えられないとわかり

父親はチェスクラブの指導者にコーチを頼む。

ジョシュはメキメキと強くなり、チェスの大会で優勝する様になる。

しかしある時スランプに陥り、コーチの指導法に疑問を持ち離れることに。

父親とジョシュは一度はチェスをやめようとしたが、もう一度挑戦することに。

そして大きな大会へ出ることに。



こういう天才の物語ってやはり面白い。

チェスだけでなく、スポーツや芸術やアーティストなどの物語に人は惹かれる。

そして天才はやはり一人だけで成り立たなく、両親、友人、コーチ、師匠などの人間関係が、その天才を作り出す。

今作は二人の師匠がキーになる。

ローレンス・フィッシュバーンの演じる賭けチェスをする黒人のホームレス、

ベン・キングスレーの演じるチェスクラブの指導者。

賭けチェスの黒人はホット、チェスクラブの指導者はクール。

この対比がとても上手く描かれている。

また両親の愛も、母親の絶対子供を信じる深い愛。

父親がコーチを探し、そして一緒にアメリカ中の大会に連れていく。

そして、映画の中に出てこないが、彼らの会話の中に出てくる伝説の

ボビー・フィッシャー、彼の存在がこの映画をリアルにし、深みを出している。

そう天才少年ジョシュ物語ではやはり弱い。

ボビー・フィッシャーという伝説がいて、その再来と言われる少年、ボビー・フィッシャーのチェスに魅了された少年やチェスの指導者が彼の伝説や戦い方を話すことがこの映画の魅力になっている。

印象的なシーンは
父親と指導者が話し合うシーン

チェスとは何だ
単にプレーする者にはゲームにすぎない
一生をささげる者は”学びの場”と言うだろう
ボビー・フィッシャーはチェスの真髄に触れた
芸術だ

ジョシュがチェスを通して学んでいく姿が感動を呼ぶ。



そうそう、姿を消したボビー・フィッシャーは日本にも一時いたことがわかっています。

今日はここまで。


今、神とチェスをしたとしても、自分が先手なら引き分けだ
/ボビー・フィッシャー













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