趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.328 映画 佐伯清「昭和残侠伝 吼えろ唐獅子」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は映画 佐伯清さんの「昭和残侠伝 吼えろ唐獅子」 (1971/日)についてです。
任侠映画「昭和残侠伝」シリーズの第8作目。主演は高倉健、監督は佐伯清。
池部良、鶴田浩二、松方弘樹とすごいメンツも集まっている。
もう何が印象的かというとやっぱり、健さんの魚の食べ方。
ものすごく綺麗に食べる。
この時代の渡世人はその土地のヤクザから一宿一飯(いっしゅくいっぱん)を貰ったら、その義理でどんな不条理なこともしなくてはいけない
もうずっと筋、筋、筋を通さなければならなく、それがとことんいくところまで行くと最後に大爆発する。
もう8作目まで行くと、完璧なパターンが出来上がり、東山の金さん、水戸黄門、男はつらいよレベルまで行き、その様式美を堪能する。
ただ今回の健さんは流れもので、仁義を通すが、何かを背負っているわけではない。
それでも巻き込まれてしまう。
もう筋の通らない乱れ切ったヤクザの世界を、渡世人の健さんが筋をとことん通す。
あの魚の食べ方から、健さんの筋を通す気迫を感じました。
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物語は、長い懲役を終えた秀次郎(高倉健)は前橋の黒田一家に草鞋を脱いだ。
一宿一飯の義理から、秀次郎は風間(松方弘樹)という黒田一家の若い衆を追って金沢へやってきた。
風間は敵対する親分を殺して旅に出されたが、黒田親分の女房が風間を追って家から逃げ出したので、親分の怒りを買ってしまった。
2人を追って来た金沢では三州一家と稲葉一家が対立していた。
秀次郎は稲葉一家に草鞋を脱ぎ、その対立に巻き込まれていく。
敵対している三州一家の女房が、秀次郎の昔の恋人だった。
秀次郎は風間と女房の件を助ける代わりに、三州一家の親分を切ることになってしまった。
しかし黒田親分は約束を破って風間と女房は殺され、それを知った秀次郎は風間の兄と殴り込みに行く。
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まあ不条理なヤクザの世界の筋のためやりたくないことをして、しかし他のヤクザたちは筋を通さず悪いことをやり放題。健さんだけが徹底して筋を通す。
筋、筋、筋。
この映画は筋が大事な渡世人の世界ももう忘れられている。
健さんだけが頑なにそれを守っている。
それでもどんなに我慢して筋を通してもそれを破られ、最後にはその大事なヤクザの筋を捨てて、殴り込みに!
そのラストのクライマックスに、一気に今まで我慢してきた全てが爆発する。
もう定番だが、やはり観ていて拍手喝采です。
今の現代ではもう失われた、男の生き方を、こうやって見れるのは任侠映画も良いものですね。
今日はここまで。
親分さんに恨み辛みはございませんが、渡世の義理でお命頂に参りました
/「昭和残侠伝 吼えろ唐獅子」より
本当に有名な名台詞だが、やはり映画でそれを高倉健さんの声で聞くと痺れる。