趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.295 映画 三隅研次 「大魔神怒る」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日は映画 三隅研次さんの 「大魔神怒る」 (1966/日)についてです。
特撮映画で有名な「大魔神」の第二弾。
前作とはストーリーは繋がっていないが、世界観は戦国時代の日本。
大魔神の住む場所も山から島に変わった。
今回の特撮は十戒のように湖が割れます!多分特撮人としてはやりたかったんでしょうね。
勧善懲悪の世界で、特撮やセットもお金がかかっていますし、ゴジラの伊福部さん音楽もバッチリ。
ゴジラもそうですが圧倒的な存在って映画としては神を描くことになり、人間の愚かさが弱さ優しさが浮き彫りになっていい人間ドラマにもなりますね。
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戦国の時代、大きな美しい湖の岸に住む一族と、その本家筋の一族は仲良く平和な日々を送っていた。
湖の真ん中には両一族の神様が祀られていた。
ある日その島で本家筋の若き殿様と、湖の岸辺に住む許嫁の娘が祖先の法要をしていた。
そのとき神様の仏像の顔が真っ赤になり、何か嫌な前兆かもしれないと一族は思った。
やがて悪政をほしいままにしている隣国が攻めてきた。
殿様は辛くも逃れたが、隣国の城主は許嫁の娘の父を殺し、兄を人質に連れ去った。
さらに一族が大事にしている神様の仏像を破壊して湖に投げ捨てた。
怪我をした殿様は許嫁の娘の看病で回復し、人質にとられた兄も脱獄して
隣国の城主に乗っ取られた城を奪還しようと隙を窺っていた。
しかし狡猾な隣国の城主の罠にハマり、三人とも囚われてしまった。
殿様の国が大事にしている鐘も湖に沈められ、三人とも火炙りの刑に。
許嫁の娘は必死に神様に祈る。
すると大地を揺るがす音と共に、怒り狂った大魔神が現れる。
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もうとってもわかりやすい話。
散々痛めつけられ、ギリギリのところで大魔神登場!
いかにいじめられるかがキモ。
まあ粉々にされ海に捨てられたら怒りますよねw
そして許嫁の娘役の藤村志保さんが儚くて美しい。
彼女の祈りと涙を見たら、大魔神も動くでしょう!
今回セットが素晴らしい。
特に湖の真ん中にある島で神様が祀られている場所。
鍾乳洞のような、船で行ける。
多分この後の特撮に多大な影響を与えたかもしれません。
秘密の島。
そういえばどこかの池に真ん中に島があって、祠が祀られていたのを見たことがあります。
まあ特別感があり、滅多に人が入れないので神様を祀っていたんでしょうね。
撮影監督は森田富士郎さん 本当に映像が良い。お得意のガスを炊くのも今回も十分堪能できる。
空気感と距離感を大事になされ、リアリティを重んじるのはとっても勉強になります。
今日はここまで。
スモークの中でズームを使うというのは大きな間違いです。空気層を通して移動撮影すれば引くとガスは濃くなり、寄れば薄くなる。
/森田富士郎(撮影監督、特撮監督)