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趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.268 映画 黒沢清「勝手にしやがれ!!脱出計画 」

こんにちは、カメラマンの稲垣です。

今日は映画 黒沢清の「勝手にしやがれ!!脱出計画 」(1995/日)についてです。


「勝手にしやがれ」シリーズの第二弾。

哀川翔の Vシネとして観るか、黒沢清の初期の作品として観るかでだいぶ違うと思う。

ゆる〜いオフビートなチンピラのVシネマだが、やはりそこは黒沢清、長回しや移動撮影など、映画っぽい演出が面白い。

シリーズは6本あるが、
勝手にしやがれ!!強奪計画 (1995/日)
勝手にしやがれ!!脱出計画 (1995/日)
勝手にしやがれ!!黄金計画 (1996/日)
勝手にしやがれ!!逆転計画 (1996/日)
勝手にしやがれ!!成金計画 (1996/日)
勝手にしやがれ!!英雄計画 (1996/日)

後半は割と評判がいい。

今は日本を代表する映画監督黒沢清が、低予算だが好き勝手に自由に作っているからこそ凄く魅力に溢れている。不完全さから滲み出る何かが。

昔は日活ロマンポルノが若手の登竜門だったが、90年代はVシネマがそれに変わっている。

VシネマはOVとも言われ、ビデオ専用の映画。映画館で流すのではなくオリジナルビデオ作品としてレンタルビデオやパッケージ販売されるもの。

今はCMやミュージックビデオなどがそうなのでしょうか。

今は活躍するベテラン俳優さんが、若い時にギラギラしながら演じているのを見れるのも貴重だ。

哀川翔と前田耕陽が主役だが、それ以外に大杉漣や洞口依子がレギュラー
寺島進、黒谷友香、國村隼なども若い姿で出ている。

もう今はVシネマは下火になったが、いろいろな監督や俳優が出てきて活躍できた場所だったのですね。この勝手にしやがれ!!シリーズもその一つ。



物語は、主人公はチンピラの二人組(哀川翔と前田耕陽)、暴力団の組長は自分の娘が付き合っている男の調査を二人に依頼した。

公園で抱き合う二人をビデオで隠し撮りし、それを見て怒り狂った組長は相手の男を連れてきたら200万円出すと言う。

しかしチンピラの兄貴分(哀川翔)はその仕事を断ってしまう。

ある日そヤクザに追われているその相手の男(大学生の青年)に偶然会いなりゆきから匿ってしまう。

事情を聞くとヤクザの娘の方から無理やり誘われて組長の娘とは知らず関係を持ってしまったらしい。

青年はこのままでは叔父の住むオーストラリアに逃げるしかないと言うとチンピラの二人は物価の安く自然がいっぱいのオーストラリアに憧れていたのだった。

二人はその青年をヤクザに渡し200万円をもらいオーストラリアに行く費用とするが、またその青年が怪我をしながらヤクザのところから二人の家に逃げてきた。

オーストラリアにいる叔父さんのところへやっかいになるし、仕方がなく三人でオーストラリアへ行くことに。

青年は恋人も連れて行くといい、その恋人は青年のことはなんとも思っていなくチンピラの兄貴に一目惚れしてしまう。

しかしその恋人は、ヤクザの娘の妹で、大混乱に。

兄貴が外出をしている間、弟分と青年がヤクザに捕まり、兄貴は二人を救出へ行く。

組長に不満を抱くヤクザが手助けをしてくれて、六人で船に乗ってオーストラリアへ行くことになる。

船が来て出発という時にその組のヤクザにみつかり、手助けをしてくれたヤクザは殺されてしまう。

二人のチンピラはケジメをつけるために青年と恋人とヤクザの娘を船に残し、ヤクザたちのところへ向かう・・・。



まあストーリーはドタバタで面白いが、まあ物語からは何も感動はしない。

これは黒沢清じゃなかったら、哀川翔じゃなかったら見ないでしょう。

黒沢清の実験精神に溢れた、低予算だけどアイディアに溢れた演出。

長回し、ドリー撮影が多い。望遠なども。

もうこの演出に見るためにこの映画を観ていると言っても良い。

もう最高なんです。

それと哀川翔の魅力。もうそういうチンピラ像を代表するような演技。

ずっとタバコ吸ってお金に弱く軽薄で間抜けだけど、どこか一本気がある人物像。

高倉健さんや菅原文太とは違う、90年代の軽〜いチンピラ像が素晴らしい。

それでも最後の最後はちゃんと信念がある。

予算の少ないVシネマでも演出と俳優が良ければ良い作品が撮れるという見本のような作品。

今日はここまで。



「オーストラリアに行きたいね、でもどこにもいけないね、そもそもオーストラリアってなにがあるの?」
/「勝手にしやがれ!!脱出計画 」より












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