趣味は「映画と読書と音楽」と言っても良いですか? vol.334 映画 マキノ雅弘「昭和残侠伝 唐獅子仁義」
こんにちは、カメラマンの稲垣です。
今日はマキノ雅弘の「昭和残侠伝 唐獅子仁義」 (1969/日)についてです。
昭和残侠伝シリーズ第5弾。
もちろん主役は高倉健、ライバルは池部良、ヒロインに藤純子、親分に志村喬
お馴染み定番の顔ぶれのキャスティング。
赤い文字の題名、健さんの唐獅子牡丹の曲が流れて
漢同士の渡世人の戦いが続き、怒りを溜め込んで
最後は高倉健と池部良の最強タッグが殴り込み!
もう完璧な定番の心地よさ。よ!待っていましたという感じ。
安心してこの世界へハマれます。
そんな定番の中で、やはり片腕をなくした池部良と、軽妙なお調子者の待田京介のキャラクターが印象に残ります。
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物語は、主人公の蔵前一家の代貸花田秀次郎(高倉健)は、仇の雷門一家の親分を斬った。
雷門一家の客分風間重吉(池部良)は渡世の義理から、秀次郎と戦うことになり左腕を無くしてしまった。
5年後、刑期を終え出所した秀次郎は一家の生き残りが世話になっている名古屋の別の一家のところへ向かう。
雷門一家の者がその機会を狙っていて襲いかかり、秀次郎は振り払うが怪我をしてしまう。
そんな秀次郎を通りかかった芸者のおるい(藤純子)が手厚く看護をする。
その秀次郎を林田一家が匿ってくれたが、雷門一家の同族樺島一家に知れて、親分は殺されてしまう。
その樺島一家は国有林の入札をめぐって、林田一家がバックアップする浅野屋といざこざをしていた。
それを秀次郎がたびたび救う。
そんな秀次郎を殺せと金で請け負った藤吉は、何度も狙うが全く歯が立たない。
林田一家の一員でおるいの弟が恋人を樺島一家に殺され、樺島は重吉に秀次郎を殺せと命じるがそんな約束を守る男ではなかった。
恩義のある林田が殺され、重吉の挑戦を受けようとするが芸者のおるいに2人が戦うのは樺島の罠だと告げたが彼女も銃弾に倒れてしまう。
恩義のある親分と優しくしてくれた芸者も殺され、秀次郎は重吉と藤吉と樺島一家に殴り込みに行く。
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もう定番の話の流れだが、なんでこんなにヤクザはいざこざをしているのでしょうね。
いつもいつも喧嘩をし、恩義を受けた人が殺され、また復讐をする。
その復讐でまた殺し合いが始まる。
平和な日々は幻か、この無常感が全編このシリーズに流れている。
そんな中で漢たちは戦い、そして惹かれあっていく。
特に今回は主人公の秀次郎(高倉健)と重吉(池部良)との関係性がとても魅力的だ。
まずオープニングで2人は斬り合い、重吉の左腕を切り落とされてしまうところから始まる。
憎み合うどころか、お互いに認め、共通の恩人を殺され
最後は2人揃って殴り込みに行く。
片腕の重吉なのでドスを手に手拭いで巻きつけるのを秀次郎が手伝うシーン。
なんだか色っぽいw
殴り込みに行くと言いながらもうある意味これから二人で心中するような感じ。
こういうシーンの演出は流石で、ドキッとしますね。
健さんもラストの斬り合いのシーンで脱いだり、ファンサービスでしょうかw
任侠映画ですが、女性客にも受けたでしょうね。
今日はここまで。
「ひでじろうさん、ご一緒させていただきますよ」
・・・
「風間さん。おめえさんもいっぱしのヤクザだ。仮にも一宿一飯の恩義を受けなすったら、その樺島・・・」
「ごもっともです。いつかあんさんに申し上げたように、おるいあってこその風間でした。笑っておくんなさい、おるいのためにも、どうかこのあっしに死花咲かせてやって、頂きます。」
「風間さん。いきましょうか」
/「昭和残侠伝 唐獅子仁義」より