愛すべき傑作『マッドゴッド』
イマジネーションの渦に問答無用で放り込まれる映画『マッドゴッド』。
想像力がクリエイターの原動力なのは勿論だけど、「どれだけ細かく、しつこく、具現化できるか?」が作品に命を吹き込むことを思い知らされる80分。鑑賞後ぐったりしても、翌日にはまた観たくなっているんですよね。愛すべき傑作だと思います。
想像力に命を吹き込むのが具現化力。フィル・ティペット監督の果てしないイマジネーションを具現!具現!具現!で可視化していく。想像という無形の存在を具現化する行為はまるでスタンド能力だ…と実感できる映画でした。ぼくたちはそんな能力を持っている。ワクワクしますよね。
『未来惑星ザルドス』との比較
同じディストピア映画『未来惑星ザルドス』と比べると、『マッドゴッド』の特異性が分かりやすいです。
ザルドスも悪い作品ではありませんが造形力は比べ物になりません。ザルドスが描きたい世界観や思想は共感するけれど、それなら舞台でもよいのでは…と思えてしまう。ザルドスを観ると、マッドゴッドの唯一無二性は造形力から来ていることが逆説的によく分かると思います。