夏の香水のような映画。『子供はわかってあげない』がとても素晴らしい。
大好きな漫画の映画化『子供はわかってあげない』を観てきました。
いやもう素晴らしい。
愛すべき漫画のエッセンスを慈しむように抽出していて。鑑賞後、数日経ってもまだ香っています。夏の香水のような映画でした。
長野相生座ロキシーで上映してますので、長野市近郊の方は今すぐ観てください。
『子供はわかってあげない』の作者・田島列島さんが描く登場人物はみんな愛しくて、原作の魅力の一つなのですが、映画キャスティングはそれを充分反映していて素晴らしかったです。
上白石萌歌(朔田美波)
細田佳央太(門司昭平)
千葉雄大(門司明大)
古舘寛治(朔田清)
斉藤由貴(朔田由起)
豊川悦司(藁谷友充)
高橋源一郎
湯川ひな
坂口辰平
兵藤公美
品川徹
きたろう
特に主役の上白石萌歌は本当に素晴らしかった。
ラストの屋上は映画史に残る名シーンだと思います。
上白石萌歌が演じる高校二年生。彼女は他者とのコミュニケーションがけっこう雑で、その雑さがとても「だよなあ」というリアリティで最高でした。宮崎駿が「家族の会話をよく聞いてみなさい。みんな思った以上に乱暴に話しているから」とどこかで言っていましたが、それを彷彿させる人物像で。
ぼくは高三の長女がいるのですが、自分の長女を見ているようでした。
問題はひとつ。
映画の余韻があまりにも素晴らしくて、原作を読みかえしたいのに、躊躇してしまって読めません。映画版の香りをまだ味わっていたいという気持ちもあり。でも、漫画の『子供はわかってあげない』も本当に素晴らしいので読み返したい。でも… という葛藤のループに突入しています。ああ…
補足
上田映劇でモギリのバイトをされているもぎりのやぎちゃんさんが300%の同意と共感をしてくれました。嬉しいです。
300%の同意と共感、ありがとうございます。素晴らしいですよね。
『子供はわかってあげない』はぼくにとって大切な映画のひとつになりました。ラスト、泣き笑いでぐしゃぐしゃになりながらの「頭が狂いそう」のセリフにまだ心を鷲掴みにされています。あれは本当にすごかった。
ぼくはあの「頭が狂いそう」に300%の同意と共感を捧げます。
世界中の17歳が体験するであろうあの時間は「どこにでもある珍しくないこと」であると同時に、その人だけの、その時だけの、正に「頭が狂いそう」な瞬間だよな!とスクリーンに向かって頷いていました。最高でした。
ぼくはもうおじさんだけど、あの瞬間のことを忘れていない。