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生き辛くても自慢したい…っっ‼︎

目と目が離れているほどカッコイイ、という価値観の虫がいる。

標本のスケッチ

シュモクバエだ。
アフリカなどの熱帯に生息し、150種以上が確認されている。

名前の由来となった撞木は、金を鳴らすための木槌のことだ。

目と目が離れている利点は、周囲を広く見渡せたり、獲物との距離をより正確に測ったりするのに役立つという。

しかし、1番の要因は、やはりモテることだろう。
目と目がより離れているオスほどメスに好かれるため、際限なく伸び続けている。

長ければ長いほど優秀、というシュモクバエ界隈の正義は絶対的だ。
仮に餌をあまり食べれておらずフラフラな状態だとしても、目と目が離れてさえいれば、健康なオスでも成す術なく立ち去る。

戦えばブチのめせたかもしれないのに…。

目と目の離れ具合は栄養状態に関係していて、最適な環境であれば目の長さに大した違いは出ない。
だが、餌の少ない環境で育つと目の長さに1、2割の差が出てくる。
過酷な環境でも、貴重なリソースを生きるためだけでなく、長い目という「無駄な装飾」に割けることが遺伝子的に優秀、というメスのジャッジにつながるのだ。

要は見栄っ張りがモテているというわけである。

シュモクバエの目の長さが、生存に要るのか要らないのかで言えば、要らないのだと思う。
少なくとも“ちょうどいいライン”を優に超えていて、逆に不便なはずだ。

同様の名前の由来を持つシュモクザメというサメがいる。

a.k.aハンマーヘッドシャーク

このサメは、目と目を離すことで更なる機動力や広い視野、より鋭敏なセンサーを手にしている。

しかしながら、DNAを調べてみると、より最近の種になる程、目と目の幅が狭まっていることが判明している。
つまり、より“普通”になる方向へと進化しているのである。

ある臨界点を超えた頃、シュモクバエもこのサメと同様に「目と目が離れてるのって、冷静にダサくね?」と気づき、より普通のデザインへと進化するようになるかもしれない。


つらい未来…。

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