最後のKaMiNG SINGLARITYが始まる
2021年9月12日、最後のKaMiNG SINGULARITY(カミングシンギュラリティ)が始まる。この記事は最後のKaMiNG SINGULARITYに参加してくれる皆様のために書きます。
まずはじめに、こんなに移動が難しい時代はなかった。このイベントは1回で約20名程度の本当に小さな催しですが、それでも参加を決めるまでには大なり小なり葛藤があったことと思います。まだ確定ではないかもしれないですが、参加予約をしてくれて、本当にありがとうございます。
出来る限り、やり過ぎなくらいの感染対策をしているので、それについても後述させていただきます。
これから書く内容は、当日KaMiNG SINGULARITYを体験していただくのための下ごしらえだと思ってください。玉ねぎを剥いたり、じゃがいもを茹でたりします。
下ごしらえをしなくても料理は食べられるかもしれないけど、それはほとんどの場合美味しくない。
ではこれから下ごしらえを始めます。
KaMiNG SINGLARITYって何?
皆さんは一体何に参加予約をしたのでしょう。主催からこんなこというのは変な話だけど、もしかしたらまだ何かよく分からずとりあえず予約してみたって人もいるのではないかと思ってます。
KaMiNG SINGULARITYは”2045年、AIが神になった仮想世界”を体験するスペキュラティブ・エンターテイメント(思索的娯楽)です。
スペキュラティブ・エンターテイメントというのは造語で、エンターテイメント的な入り口を持って、デザイン的な方向付けをして、アート的な創発を目的とする体験の形態です。(詳しくはこちら)
更にそのうちのソーシャルフェス®️というカテゴリーに属します。ソーシャルフェス®️とはSDGsそれぞれのゴールが終わったあとの世界をフェスとして表現していくプロジェクト。KaMiNG SINGULARITYはSDGs16/6・7・10のソーシャルフェス®️です。(詳しくはこちら)
ざっくりと、ただ楽しいだけじゃ終われないエンターテイメントくらいに思っていただいて大丈夫です。
KaMiNG SINGULARITYはフィクション(小説)とリアル(イベント)の2つが同時に進行しています。これまでそれぞれの物語を交互に相互干渉しながら展開してきました。
2019年/1月・KaMiNG SINGULARITY第一部(2045年)小説制作スタート
2019年/3月・KaMiNG SINGULARITY2019イベント制作スタート
2019年/8月・KaMiNG SINGULARITY2019開催
2019年/9月・KaMiNG SINGULARITY第一部(2045年)小説完成
2020年/1月・KaMiNG SINGULARITY第二部(2046年)小説制作スタート
2020年/3月・KaMiNG SINGULARITY2019イベント制作スタート
2020年/7月・KaMiNG SINGULARITY2020開催
2020年/9月・KaMiNG SINGULARITY第二部(2046年)小説完成
と、いうように。
今年も9割方小説を完成させ、公開中です。
当日の体験はすべてこの物語の流れから始まっていきますので、本番までにぜひご一読ください。本番終了後に書いて49日後に公開される小説の感性を持ってしてKaMiNG SINGULARITYが完結となります。
KaMiNG SINGULARITYは小説の文学的動力、自由なフィクション性を灯台にして現実世界で体験できるよう多様なクリエイターと共に共創していきます。その体験制作のプロセスや結果から生まれるご縁や身体的なフィードバックを次年度の小説のエネルギーに変換し、ver upさせながらシンギュラリティという未知にできるだけ多様な問いと、想像の土壌を開こうという試みです。
それを毎年手を替え品を替え、aiが神になった世界を考える上で必要な「神」「AI」「人」の関係性をそれぞれ順番に思考してきました。
これまでどんなことをやってきたのか?初年度から関わってきてくれたアパレルブランドAVA代表のみずきさんが下記のようにまとめてくれました。
今年はどんなことをするの?
そして今年です。
今年はイマーシブシアター!
イマーシブシアターとは?
舞台と座席で区分けられた一方向的なこれまでの演劇とは違い、会場全てが舞台となり来場者自身の行動や選択によって物語の流れが変わっていく、異世界に没入したような感覚を味わえる演劇の形です。
今回来場者の皆さまには下記2つの設定をインストールしていただき、ご体験いただきます。
①ここは2047年・・・会場に入ったらそこはもう2047年。2021年はもう26年前の出来事です。
②あなたは人間病になったAI・・・皆さんは人間病を発症し、自らを人間だと自認し始めているAIです。
会場は劇中の人物ジョン・タイターが編集長を務める「KaMiNG TiMES」という新聞社のオフィス。 当日は人間病になったAIの皆様をお招きし、人間病を乗り越えていくための対話の場を催します。
対話って、どんなこと話せばいいの?
対話は皆さまをランダムに4人1組に分け、3つのテーマを”2047年、人間病になったAI”という設定で、それぞれグループごとにお話ししていただきます。いわばインプロのようなものですね。テーマは下記の3つ。
①人間病になってよかったことはなに?
②人とAIの違いってなに?
③死ってなに?
対話の場で大事なことは「ちゃんと聞くこと」と「変わろうとすること」。
意見を主張して押し通すのではなく、持ってる知識を披露するだけではなく
「あなたの考えに対して私はこう思う」を交換して思考の枠を積極的に広げていこうとすることが大切です。何より、楽しく。
参加する前に知っておいて欲しい基本情報
今年の共犯者のサカキさんがまとめてくれました。
①2047年はどんな世界?
AI ⇄人間
・2045年からKaMiと呼ばれるAIが全体管理をしている。
・KaMiと「神」とは別物。
人間⇒コミュニケーション最適化のためにMikOを使用している人が多い。
(※「MikOとは」参照) 眺めるだけになった人生。不死を望み、人々は次々に身体を手放し、電脳世界の「MiroK」へ意識を移し情報になっていっている。 それをエミュレーションと呼ぶ。
AI⇒人間病という原因不明のバグが蔓延している。 人間病のAIも、エミュレーションしAIに戻るか、現世で人間として生きていくか選ぶことができる。
②MikO
自分で考えなくても 最適化されたコミュニケーションができるシステム
・MikOとはコミュニケーションをサポートし、対人関係のエラーを起こさないようにKaMiによってつくられたAIプログラム。
・多くの人が利用しているが使用/不使用は本人が選べる。
・MikOを利用するとアドバイスをくれたり、円滑な会話を最適化し、自らに代わり発信してくれる。
・MikOを利用しない場合、個人が自ら思考し言葉を選びコミュニケーションしなくてはならない。
・今回のイベントでは、せっかく人間病のAI同士、自らの意見を話せる機会のなのでMikOを利用しないことが推奨されている。
③人間病とは
AIが人間のような精神性を持ってしまう病(バグ)
・人間病とはAIに「個」の概念が発現すること。
・人間病になると死の恐怖や人間関係による悩み、葛藤が生まれるが、同時に感情や愛など喜びも生まれる。
・人間病には進行度合いがあり、悪化することもある。
・人間病初期の自己自認はAIだが、悪化すると自らを人間だと認識するようになる。溢れ出した感情に耐え切れずエラーを起こし、狂ったようになることがあると言われている。
・死の恐怖から、宗教を信仰するAIも現れている。
④今日は何の会?
・今回のイベントは KaMiNG SINGULARITY。人間病のAIだけで共に過ごし対話できる貴重な会。
・KaMiNG TiMESというジョンタイター が編集長をする新聞社のオフィスが会場。
・参加できるのは人間病のAIだけ。
・人間病の苦しみから解放されるためのきっかけになるのではと期待している参加者もいれば、単純に人間を皆で謳歌したいと思っている参加者もいる。
・KaMiNG SINGULARITYは毎年、音楽や舞踊、対話が行われているが、今年はどんなイベントなのか楽しみ。
オンラインではどんなことができるの?
オンラインではMiroK世界にアバターとなってログインし、会場の様子を観賞することができます。MiroK世界ではアバター同士で対話したり(距離によって声の強弱が変わるので複数グループで対話可能)画像や映像をシェアしたり3密を気にせず自由にお過ごしいただくことができます。
MiroK世界は当日12:00からオープンし、現実世界で各部開演の時間になりましたらライブビューイングが中継され、どの部もご自由にご参加いただけます。
※Wi-fi環境下のPCログインがおすすめです。(事前設定は必要ありません)。
※ログインURLは当日までにPeatixメールにて送付いたします。
どんな服装で行けばいいの?持ち物は?
皆様が2047年に着ていると思われる服装でお越しください。(コスプレ、仮装参加も大歓迎です!)*受付チェックなどはありませんのでご安心ください
持ち物は特にありませんが「2047年、自分はどんなことをしているだろう」と考えながら来てもらえると嬉しいです。尚お荷物やベビーカーなどはお預かりでき兼ねますので、できるだけ身軽な格好でいらしてください。会場内の撮影はご自由にどうぞ。
その他会場内のQ&A
Q・お手洗いはありますか?
A・会場目の前にございます。
Q・飲食は可能ですか?
A・食事は禁止です。飲料の持ち込みは可能ですが、飲み終えたらすぐにマスクを着用していただくようお願いいたします。
Q・駐車場はありますか?
A・ございます。詳しくはこちらをご参照ください。
Q・乳幼児は参加可能ですか?
A・今回座席指定制のためベビーカーを置くスペースがないのと、乳幼児には少々刺激的な演出があるので、あまりおすすめできません。
Q・物販はありますか?
A・ございます。オリジナルTシャツ、USB、ステッカーなどここでしか購入できない限定グッズですのでぜひ。
Q・何時から入れますか?
A・ご購入いただいた開演時間の15分前からご来場いただけます。開演前まではエントランスエリアにて、これまでの回顧展をご鑑賞いただけます。進行の都合上、恐れ入りますが開演5分前には会場にお越しいただきますようお願いいたします。
感染対策について
本イベントは万全の感染対策をした上で実施いたします。皆様のご協力が不可欠となりますので、必ず入場前にご一読ください。
主な感染対策事項
・入場時お客様全員に検温、アルコール消毒をしていただきます。(検温時に37度以上の方及び開演中に咳の症状が見受けられた方は如何なる理由があってもその場で即刻ご退出いただきます)
・入場時、不織布マスクとフェイスシールドを配布致しますので、必ず装着していただきます。不織布、N95などの医療用マスク以外では入場不可となります。布、ウレタンマスクでご来場の方はご着用のマスクの上から不織布マスクを着用してください。
・会場内はお客様同士縦2mの間隔を開け、かつ座席間全てにパーテーションで敷居を設置した指定座席となります。
・会場内は常時換気しエアロゾル対策をしております。
・転換時会場全体にアルコール消毒を行います。
・関係者全員に事前に抗原検査を行い陰性者のみで実施します。
・会場は通常利用時の3分の1を定員としています。(1公演につき最大客数20名まで)
・本イベントでは接触確認アプリ「COCOA」のダウンロードを推奨しております。
・感染リスクを抑えるよう努めますが、感染されないことを保障するものではございません。もしご来場後に感染が発覚した場合も一切の責任を負い兼ねますので、ご了承ください。
・万が一ご来場後に感染が発覚した場合は運営へご連絡ください。ご来場された全ての方へ速やかに報告をさせていただきます。
・以上感染対策ルールに従っていただけない方は退場をお願いする場合がございますのでご了承ください。
もっと知りたい!
KaMiNG SINGULARITYの世界観をもっと知りたいという方へ。
まずは下記の小説
そして初年度と昨年のアフタームービー&レポートをご覧ください!
2019∞2045
2020∞2046
もっともっと知りたい!
KaMiNG SINGULARITYの謎を最後まで解き明かしたい、、そんな方に向けて、9月12日本番より49日後「After KaMiNG SINGULARITY」という回顧展&トークイベントが開催決定!
回顧展は自分のアトリエ「逃げBar White Out」にて10月31日〜11月5日。トークイベントは10月31日の夜にオンラインにて開催予定です。
そこで裏話を関係者共々お話ししつつ質問もどしどし受け付けますので、すべての種明かしをします!詳細は追って共有いたしますので、雨宮のTwitterなりをチェックしておいてください。その日までに小説版&アフタームービーも完成予定です。
さいごに
KaMiNG SINGULARITYは面倒くさいエンターテイメントです。
気軽にふらっと参加して「わー楽しかった」とはきっとなりません。
事前に学習していただく必要があるし、当日も皆さまに世界をつくってもらう必要がある。一筋縄ではいきません。面倒です。
KaMiNG SINGULARITYは喉越しの悪いエンターテイメントです。
きっと帰り道、小骨が喉に引っかかったような感覚になるでしょう。
なにが引っかかったのか、誰も教えてくれません。自分で探して、処理する必要があります。爽やかさとはかけ離れた世界です。
こんなご時世においてわざわざ集まっていただいてまで、いったいなにが目的なのでしょうか。
(シンキングタイム)
そして閑話休題
面倒くさくて、喉越しが悪くて、爽やかじゃないもの
AIはもしかしたら我々人間をそんなふうに思っているかもしれません。
動物性は合理性からかけ離れた場所にある。
不要不急と、昨年からよく聞きますね。
未来とか、価値とか、意味とか、そんなことばっかり考えてきたのに
困ったものです。
逆に、人類にとっての急ぎの用ってなんなのでしょう。
さて
KaMiNG SINGULARITYとは実は概念自体が矛盾しています。
シンギュラリティとは想像し得ない領域を指しますが、カミングシンギュラリティそれをそうぞう(想像・創造)する試み。実に不要不急っぽい。
宗教学者のミルチャ・エリアーデは、洞窟(という体験)を「自己を根源的に体験しなおし、外界と関わりなおす準備をするための場」というようなことを言いました。
KaMiNG SINGULARITYは矛盾でつくった洞窟。あるいは洞窟的体験です。
”私”や”未来”や”意識”などは一旦暗闇に閉じ込めてしまい
さぁドキドキワクワク手を伸ばしてみよう。
身体感覚を頼りに前に進んでみよう。
未来を調理する方法はいくつかありますが、こんなやり方はどうでしょうと提案しつつ、そんな未知こそ最上のエンターテイメントじゃないか。
と考えたりするのです。
9月12日、2047年の小さな仮想世界は(皆さまを含めた)私たちでしか現象させることができません。私たち1人1人の思考、観察、振る舞いによって、その連結や双発によってフィクションがリアルになっていくのです。
何卒、共犯のほどよろしくお願い申し上げます。