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「さびしさは鳴る。」

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自作小説を集めたものです。表題は、某芥川賞作品の有名な冒頭から、拝借致しました。
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2014年6月の記事一覧

「何にもない自分と向き合いたくなんてなかった」

「何にもない自分と向き合いたくなんてなかった」

空が嫌に目に染みた。

目をつぶると、脳裏に浮かぶのは駄目なことばっかりだった。

散々だ。本当に散々だ。

歩調は自然と早足になる。何に向かっているのか、何から逃げているのか、もうなんだかよくわからなくて、とにかく、ぐんぐん進んだ。のどが締め付けられるようにギュッとなった。

こんな日に口にしたハンバーガーは、いろんな考えを頭から追い出している間に急速に冷めていた。口に運んだポテトの、何とも言え

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