imyme.

曖昧で、けれどすべてが自分。学生時代のアカウントをそのままにしています。大人になってからは別アカウント。本/音楽※「」のついたタイトルの文章は自作の小説です。「」なしのものは、読書感想になります。しがない文章ではありますが、もしよろしければ感想を聞かせていただけると、嬉しいです。

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曖昧で、けれどすべてが自分。学生時代のアカウントをそのままにしています。大人になってからは別アカウント。本/音楽※「」のついたタイトルの文章は自作の小説です。「」なしのものは、読書感想になります。しがない文章ではありますが、もしよろしければ感想を聞かせていただけると、嬉しいです。

マガジン

  • spica.

    だれかのこと。だいすきなこと。おもったこと。 ーーーしあわせは途切れながらも続くのです。

  • 「さびしさは鳴る。」

    自作小説を集めたものです。表題は、某芥川賞作品の有名な冒頭から、拝借致しました。

  • 明け方には、息を潜めた秘密が満ちている。

    大好きで、苦しくて、それでも出会えた本のこと。

  • 「神様が叶えてくれることはそう多くないから、」

    ならざきむつろさんの企画、「note Advent Calendar」 に出させていただいた小説をまとめたものです。

  • 5分だけ、頂戴します。

    自作のショートショートを集めたものです。よろしければ御一読下さい。

最近の記事

【告知】 お久しぶりです。初めて書いた文章を自分で印刷したので、こちらでもお伝えしたく…!【spica】という名義で、明日11/12(土) に吉祥寺zineフェスティバルへ参加します。エッセイ的なものと雑誌的なもの計2冊頒布予定です。ご縁がありましたらぜひ🌱

    • 久しぶりにnoteをはじめたくて、新しいアカウントを作成しました。 学生時代自分が紡ぎ、優しい言葉もたくさんいただいた宝箱のようなこのアカウントを社会人になった私が更新することがどうも憚られて、気づけば5年が経ちました。また、どこかで。https://note.com/spica_confetti

      • 机の中に入れてこっそり大切にしていた宝物みたいなお手紙を、ある日突然誰かに捨てられてしまったような、そんな気分に似ていました。データは、やはり永遠ではないですね。

        • 立派に5月病しています、imyme.です笑。少し離れていた間にnoteでまたもや素敵なマガジンが生まれていました。⇒ https://note.mu/caleidoscopio/n/nc93aa682c0c5?magazine_key=mbe8a2a830396 5月号では私の作品も載せていただいています。(コメントに続く)

        • 【告知】 お久しぶりです。初めて書いた文章を自分で印刷したので、こちらでもお伝えしたく…!【spica】という名義で、明日11/12(土) に吉祥寺zineフェスティバルへ参加します。エッセイ的なものと雑誌的なもの計2冊頒布予定です。ご縁がありましたらぜひ🌱

        • 久しぶりにnoteをはじめたくて、新しいアカウントを作成しました。 学生時代自分が紡ぎ、優しい言葉もたくさんいただいた宝箱のようなこのアカウントを社会人になった私が更新することがどうも憚られて、気づけば5年が経ちました。また、どこかで。https://note.com/spica_confetti

        • 机の中に入れてこっそり大切にしていた宝物みたいなお手紙を、ある日突然誰かに捨てられてしまったような、そんな気分に似ていました。データは、やはり永遠ではないですね。

        • 立派に5月病しています、imyme.です笑。少し離れていた間にnoteでまたもや素敵なマガジンが生まれていました。⇒ https://note.mu/caleidoscopio/n/nc93aa682c0c5?magazine_key=mbe8a2a830396 5月号では私の作品も載せていただいています。(コメントに続く)

        マガジン

        • spica.
          13本
        • 「さびしさは鳴る。」
          19本
        • 明け方には、息を潜めた秘密が満ちている。
          4本
        • 「神様が叶えてくれることはそう多くないから、」
          7本
        • 5分だけ、頂戴します。
          3本

        記事

          「ハーメルンの笛吹は黒い羊の夢を見たか」

          幼稚園児らしき集団がスイミングスクールの黄色いバスに吸い込まれていく。 「なんだかハーメルンの笛吹を思い出すなあ」なんて、ぼんやりと見ていたら、斜め前のコンビニエンスストアからいかにも目がイってしまった男が憑りつかれたようにそのバスへ歩み寄っていった。 思うよりも先に動いていた。 何となく黄色いバスに近づけてはいけない気がして、何となくで歩み寄ったら、向こうは小さな銀色の刃物を右手に持っていた。そこから先は正直あまり記憶になくて、視界が赤くなって、急速にフェイドアウトし

          「ハーメルンの笛吹は黒い羊の夢を見たか」

          「さらば夕方。」

          BGM/パスピエ「贅沢ないいわけ」 ―――*―――*――― 学生時代「一日の終わりは夕方だ」となんとなく思っていたんだけど、どうやら社会に出るとそんなことはないらしい。会社を出た空が墨を吐くように真っ黒で、閉じこめられていた間に誰かに一日を奪われたような、そんな不思議な気分になる。誰が奪ったかと言われれば、まあ、たぶん、会社に奪われたんだろう、きっと。お給料と社会的立場のために、交換条件で。 失った「今日」がひとつひとつ降り積もる。マナーやら礼儀やらコンプライアンスやら

          「さらば夕方。」

          学生最後の一日が終わり、ついに明日から社会人になります。期待よりも不安のほうが大きくて、得るものよりも失うもののほうが多いんじゃないかとそればかり考えて。頭の中で分かっているはずの義務や責任が揺らぎます。私だけじゃないのかもしれないけれど、やっぱり、不安です。

          学生最後の一日が終わり、ついに明日から社会人になります。期待よりも不安のほうが大きくて、得るものよりも失うもののほうが多いんじゃないかとそればかり考えて。頭の中で分かっているはずの義務や責任が揺らぎます。私だけじゃないのかもしれないけれど、やっぱり、不安です。

          「世界が終わる夜に」

          「未来が見えるんだ」 まさか喫茶店に入って、頼んだコーヒーが来た途端にそんなことを言われるとは思わなくて、白いカップに近づけた口が「え?」と、音をもらした。 「でね、今夜世界が終わるの。」 よく晴れた日の午後だった。まだ桜が咲くには少し遠い頃。何なら初デートの日だ。 「へえ。ーーー何時くらいに?」 「夜。」 「ーーー時間はわかんない感じ?」 「星がはっきり見えるくらいの頃かな。」 そう、とだけいって、掴んだままのコーヒーをようやく口の中に流し込んだ。動揺が伝わ

          「世界が終わる夜に」

          spica12.大好きな十冊の本

          眠れぬ夜に本十冊をあげてみる。 1、下妻物語 自分のそれまでの価値観が覆された本。ライトノベルに近い文体なのかもしれない、今思えば。中学時代から今でも一番仲のいい友人が驚くほど繰り返し読んでいた本。同じく読み倒し、ページの殆どが頭に入っていて、恐らく一番読み込んだ本。 下妻に引っ越してきた、ロリータをこよなく愛する桃子と、なんだか時代を間違えているヤンキーのいちご。絶対に交わらないはずだった二人がいろいろな偶然で出会い、お互いが少しずつ変わっていく話。一応シリーズで2作

          spica12.大好きな十冊の本

          spica.11 大好きな十本の映画

          最近映画についての記事を書かれている方が多かったので、それに触発されて、自分の好きな映画について書いてみる。 映画は、時折無性に見たくなる。 けれどあまり詳しくないので、同じ映画ばかり見てしまい、何か新しいものが見たくなったときは妹に聞くようにしている。 私が本の虫であるならば、妹は映画の虫だ。 年間何百本という映画を、映画館や家で見ている。傍から見ると何か修行でもしているのかと思うほど、TSUTAYAのレンタル品を山のように並べ、一晩中映画を見ている時もある。どれだけ

          spica.11 大好きな十本の映画

          【告知】 本日18:00より、yosh.ashさんテキストトークから派生しました逆テキストトーク、「TextTalk Reverse」がはじまります。 概要⇒ https://note.mu/yosh_jp_ash/n/n29a97e4c0096 yosh.ashさん大解剖、必見です。

          【告知】 本日18:00より、yosh.ashさんテキストトークから派生しました逆テキストトーク、「TextTalk Reverse」がはじまります。 概要⇒ https://note.mu/yosh_jp_ash/n/n29a97e4c0096 yosh.ashさん大解剖、必見です。

          「四百四病の外とは言うが、」

          「どうしよう、めっちゃ心臓どきどきしてきた。」 色素の薄い瞳に西日が当たって、きらきらと反射した。セーラー服はこの子のために作られたんじゃないの、と、思うほど良く似合う。 「大丈夫でしょ。渡すもん渡せばそれでいいんだから。」 「もー!わかってるよ、わかってるけどー…!」 伸びたセーターで半分隠れた白い手の先には、ラッピングされたチョコレートが握られている。そんなにがちがちで掴んでいたら溶けるぞ、と思ったけれど、いっぱいいっぱいの当人の前では口を噤んだ。 「ーーーじ

          「四百四病の外とは言うが、」

          星は流れた瞬間に死ぬ。流れ星は死に向かって走る姿だ。たった一瞬のきらめきを、僕たちは簡単にまばたきのさなか見失う。下を向いて、目をそらしたその後で、たくさんの後悔が襲ってくることも知らないで。街角に散らばる一つ一つが、長い長い歴史を誰かと歩いていたことにも、気づかないままで。

          星は流れた瞬間に死ぬ。流れ星は死に向かって走る姿だ。たった一瞬のきらめきを、僕たちは簡単にまばたきのさなか見失う。下を向いて、目をそらしたその後で、たくさんの後悔が襲ってくることも知らないで。街角に散らばる一つ一つが、長い長い歴史を誰かと歩いていたことにも、気づかないままで。

          「どんな痛みも消えますよ」一粒の小さなカプセルを手渡される。心の痛みもですか?と聞くと、医者はゆっくりと頷いた。「思い出しても何も感じなくなります」お礼を言って薬を持ち帰り、何度か飲むのを躊躇って、そして、今も薬は手付かずのまま机の中だ。大抵の人は飲むのを諦める、と後で聞いた。

          「どんな痛みも消えますよ」一粒の小さなカプセルを手渡される。心の痛みもですか?と聞くと、医者はゆっくりと頷いた。「思い出しても何も感じなくなります」お礼を言って薬を持ち帰り、何度か飲むのを躊躇って、そして、今も薬は手付かずのまま机の中だ。大抵の人は飲むのを諦める、と後で聞いた。

          ある日出会った女の子は元カノに驚くほどそっくりだった。あいつはこんなに笑わなかったけれど。あいつはこんな服を着なかったけれど。あいつはこんなことしなかったけれど。ああ、やっぱり違う人だ、と、気付いてしまってから僕はもう一度あいつを失った。

          ある日出会った女の子は元カノに驚くほどそっくりだった。あいつはこんなに笑わなかったけれど。あいつはこんな服を着なかったけれど。あいつはこんなことしなかったけれど。ああ、やっぱり違う人だ、と、気付いてしまってから僕はもう一度あいつを失った。

          『怖い話する?』彼女が楽しそうに言った。「お前の話はどうせ怖くないだろ」というと、『ううん、すっごく怖いよ』と、真面目な顔で答える。『実はねーーー今あなたと話している人は、もう死んでいます。』「…うん。知ってる。」『あ、やっぱり?』半透明の彼女がふわりと笑った。

          『怖い話する?』彼女が楽しそうに言った。「お前の話はどうせ怖くないだろ」というと、『ううん、すっごく怖いよ』と、真面目な顔で答える。『実はねーーー今あなたと話している人は、もう死んでいます。』「…うん。知ってる。」『あ、やっぱり?』半透明の彼女がふわりと笑った。