魔法のおじやと鍋焼きうどん
食事は、元気の源だ。
好きな人と美味しいものを食べる時、幸せを感じる。豪勢なものでなくていい、毎日の何気ない食事が一番大切なのだ。
もちろん、たまにはスペシャルな食事もしたいけれど。
表題の魔法のおじやと鍋焼きうどんとは、以前恋人が作ってくれた料理のこと。
私は、呆れるほどにペース配分が苦手だ。コンディションに日々ムラがあり、やる気に満ちあふれている時には仕事に家事にと頑張りすぎる所がある。
そして頑張りすぎた結果、その代償に体調を崩すことがある。風邪をひいたり、身体がだるくて起きれなかったり。
これまでは実家暮らしで、そんな時は母が世話を焼いてくれた。普段は全然食べたいと思えないのに、具合の悪い時のお粥ってなんであんなに美味しいんだろう。(中華粥は別として。)
恋人と一緒に暮らし始めて数ヶ月経ったある休日。出掛ける約束も果たせず、その日はただただベッドの上でぐったりしていた。
そんな私を心配して、彼が一生懸命作ってくれた魔法のおじや。包丁を握るのは得意じゃないのに、にんじん、大根、椎茸など具沢山のおじやはあまりにも美味しくてちょっと泣いた。
こんなに暖かくて心のこもったご飯を作れる人だとは…。
その優しさが、弱った体にじんわりと染み渡る。
それから泥のように眠り、彼が帰宅した頃には体がずいぶん軽くなり食と睡眠の大切さを改めて実感。
そして夜は鍋焼きうどん。
これも病み上がりに母がよく作ってくれた料理。
自分でもやってみたことはあるけれど、人に作ってもらうと何倍も美味しい。
湯気の中でぐつぐつ煮えるうだんと出汁をすすると、あぁ幸せ。
出汁って本当に美味いよなぁ。
以前台湾に行った時に食べた「阿宗麺線」も出汁が効いてて感動したっけ。異国の地で慣れない味に疲れた頃に、日本を思い出すようなあのスープの美味しさたるや。
思い出すだけでよだれが出る。
話が逸れてしまったが、美味しいものはあらゆるエネルギーの源だとさえ思う。
おいしいご飯はそれだけで話のネタになり、笑顔の素になり、幸せを作る。
たとえ1人の夜だって、自分だけのために作る料理が美味しかったらそれだけでウキウキして楽しくなる。
おいしいものに取り憑かれた私は、これからも美味しいものを探して、作って、食べて、を繰り返しながら日々を過ごすことだろう。
楽しみである。