ヤコブソン・バレエ団 ダンサーインタビュー No.1 キリル・ヴィチュジャーニン(前編)
毎年冬に来日公演を行うヤコブソン・バレエ団(ロシア国立サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエ)ですが、今年はコロナウイルスの影響で来日が叶いませんでした。
とても残念ですが、バレエ団について皆さんにもっと知っていただく機会を作ることができたらと思い、第1弾企画として”ダンサーインタビュー”を行うことになりました!
記念すべきダンサーインタビュー・1人目は…
ソリストのキリル・ヴィチュジャーニンです!
芸術監督ファジェーエフの”秘蔵っ子”とも言われており、バレエ団で最も期待を寄せられている若手ソリスト。
やや小柄な体格ですが、それを感じさせないエレガントなラインと軽やかで伸びやかな跳躍が持ち味です。
インタビューの前にプロフィールをご紹介☆彡
キリル・ヴィチュジャーニン(Kirill Vychuzhanin)
ネフテユガンスク出身。2016年、ワガノワ・バレエ・アカデミー卒業。2016年にヤコブソン・バレエ団に入団。
レパートリーは、『くるみ割り人形』王子、『眠れる森の美女』王子、『白鳥の湖』パ・ド・トロワ、『ジゼル』ペザントのパ・ド・ドゥなど。
近年は新作『スペードの女王』(イナーキ・ウルレザーガ振付)のゲルマンや『ドン・キホーテ』のバジルなど、次々と主役デビューで成功を収め、今後更なる活躍が期待される。
今一番勢いのあるソリスト、キリル・ヴィチュジャーニンに、バレエのことからプライベートの過ごし方についてまで、色々な質問に答えてもらいました!前編と後編でお届けします!
★~★~★~以下、インタビュー~★~★~★
Q1.先日(10/10)、『ドン・キホーテ』の主役バジルでデビューされましたね。おめでとうございます。デビューを終えていかがですか?
バジルは私に似た性格を持っていると感じていたので、舞台上で踊るときはとても楽しかったです。しかし、リハーサル中にかなり緊張してしまったので、自分自身をリラックスさせる方法を見つけなければなりませんでした。そこで見つけた方法が、「自分は踊っているのではなく、バジルなのだ」と自分自身に言い聞かせることでした。それと、リハーサル中に思っていたように踊ることができないことがあっても、落ち込まずに踊り続けました。そうすることで、気を散らしてしまうことも少なくなり、緊張を克服することができたのです。おかげで良いデビューを飾ることができました。
(photo:コボー版『ドン・キホーテ』より ©Stepan Demin)
Q2.これまでのキャリアについていくつかお聞かせください。
バレエはいつから始めましたか?
幼稚園の最終学年の時に、地元のバレエ学校の先生たちがスカウトのためにやって来ました。彼らは私にバレエ学校に入るよう勧めてくれて、家族もそれに賛成でした。
その後、10才頃にバレエコンクールに参加したのですが、その時の審査員の1人にワガノワ・バレエ・アカデミーの教師がいました。彼女が私の踊りを気に入ってくれ、招待を受けてワガノワ・バレエ・アカデミーに入学することとなりました。これがキャリアの始まりです。
Q3.ワガノワ・バレエ・アカデミーでの生活はいかがでしたか?
12才でワガノワ・バレエ・アカデミーに入学し、6年間勉強しました。
最終学年の担任は、マンスール・エニケフ(※1)先生でした。
スケジュールが詰まっていて毎日忙しかったですが、必要なすべての施設…教室、カフェテリア、寮などが、1つの巨大な建物の中にあったので便利でした。特に冬は寒いので、外にでる必要が無くてとても有難かったですね。
それに、外で遊ぶための大きな中庭もありました。
同級生たちといつも一緒にいたので、多くの学生と良い友情を築くことができました。
※1.ワガノワ・バレエ・アカデミー教師。現役時代は、ヤコブソンの創作に参加し作品を踊ってきた。教え子には、ヴィクトル・レべデフ(ミハイロフスキー劇場・プリンシパル)、アレクセイ・ポポフ(元マリインスキー劇場・ソリスト)らがいる。
Q4.ヤコブソン・バレエ団に入ったきっかけは?
発展途中のバレエ団で挑戦してみたいと思ったのが一番大きなきっかけです。劇場の名前に頼りたくはありませんでした。自分の活躍でバレエ団を発展させたいと思っています。
(Photo:『くるみ割り人形』 フランスの踊り)
Q5.ヤコブソン・バレエ団はどのようなバレエ団だと思いますか?
今年でヤコブソン・バレエ団に入団してから第5シーズン目を迎えましたが、この4年間でバレエ団が進化するのを見てきました。
ヤコブソン・バレエ団は毎年大規模な新作を上演していますが、その創作過程に参加し、バレエ団の成長を身近に感じられるのはとても素晴らしいことです。
来年の夏には、世界的に有名な作品であるジョン・クランコの「オネーギン」を上演する予定ですが、これまでサンクトペテルブルクのバレエ団がこの作品を上演したことがなく私たちが初めてです。そのことを、とても誇りに思っています。
Q6.芸術監督のアンドリアン・ファジェーエフはどのような監督ですか?
ファジェーエフ監督は常にバレエ団やダンサーを進歩させようとしていると思います。いつも意欲的な目標を設定し、ダンサーにとって興味深く挑戦しがいのある仕事を見つけようと努めてくれています。
Q7.好きな役柄や今後踊ってみたい役はありますか?
今年は初めて踊る役がいくつか控えています。
1つは『ジゼル』のアルブレヒトで、ミハイロフスキー劇場のプリンシパル、レオニード・サラファーノフに現在指導してもらっています(※11/21に無事デビューしました)。それと、コロナの状況が良くなれば、来年の夏に『オネーギン』のレンスキーを踊る予定です。まずは、この2つの役を無事に踊りたいと思っています。
私のダンスのキャリアはまだ始まったばかりで、今のところ一番好きな役はありません。すべての新しい役がお気に入りだからです。
ぜひ数年後にまた同じ質問をしてください。
(『ジゼル』アルブレヒト役 デビューの様子↓)
次回は、憧れのバレエダンサーやコロナ禍についてなどをうかがいます。
乞うご期待!
★キリル・ヴィチュジャーニンの【Instagram】アカウントはこちら★
↓↓↓
https://www.instagram.com/kirill_vychuzhanin/
♦インタビュー・文♦
インプレサリオ東京/ヤロスラフ・ティモフェーエフ(ヤコブソン・バレエ)
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