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松尾芭蕉の俳句鑑賞

全くの俳句素人だが、図書館でたまたま見つけた松尾芭蕉の俳句集を借りて読んでみた。

数年前に東北に旅行に行ったとき時に、松尾芭蕉が訪れ俳句を残した岩手県平泉中尊寺での句「五月雨の降り残してや光堂」もあった。
専門的な解釈は分からないが、過去の奥州藤原氏の繁栄の名残を残す金色堂が歴史を経ても燦然と輝いて見えたのではないだろうか。私も金色堂の中で黄金の輝きに往時の繁栄が偲ばれ心打たれた。

同じく平泉の「夏草や兵どもが夢の跡」は、一番気に入った句だ。どんな繁栄も戦も人も永遠には絶対に続かない。無常観は寂しさと共に、安心感も与えてくれる。何か苦しい状況であっても、永遠には続かないのだ。兵どもが夢見ていたことは、求めていたことは何だったのか?余韻を残す句だ。

山形の立石寺も訪れた。朝一番で行ったので、他に観光客も無く「閑さや岩にしみ入る蝉の声」に思いを馳せることが出来た。
長い階段を上っていき、周囲が見渡せる場所があり、この句を口ずさんでみた。
「閑さ」とうるさい「蝉の声」という真逆のことが、石を媒介にして成立している。石ははるか昔からどれだけの音を吸収してきたのだろうか?
石に吸い込まれた音を再生して欲しい、という気持ちになった。

現代の歌氷原詞も好きだが、たまには過去の俳句や短歌を鑑賞してみると面白い。短い表現なだけにどのような気持ちで詠んだのか想像が広がる。
継続的に接していきたい。

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