バレンタインとチョコレートと東京と。
日本のバレンタインの習慣に関しての批判も多いし、義理チョコととか会社の集団チョコ送付習慣とか個人的には好きではない。
この時期になると、会社の女性たちが、少しめんどくさそうに、でも仕方がないのだという様子で、”今年どうします??”と誰ともなく言い始める。部署の中で若手の女性社員が”わたしやりますよー”と良い返事してくれて、幹事を名乗りあげてくれてしまう。いらねんじゃね?という一言が言えないまま、せっかく名乗り出てくれた彼女の顔も立てないと悪いしね。というわけで、お金とアイディアだけ(XXのお店のチョコは今年話題らしいよーとかそんなアイディア)出して、お願いしてあまり意味のないチョコレート送付プロトコルが繰り返される。
これがたまらなく気持ちが悪くて、でも、毎回このサイクルから抜け出せないまま、何年も同じことを繰り返している。おそらく私の職場だけじゃないよね。
相変わらず、上記の儀式は好きになれないのだけど、最近バレンタインのメリットも発見した。そもそもバレンタイン市場って1260億円(2019年予測 一般社団法人 日本記念日協会 記念日文化研究所)もあるらしい。チョコの市場ではなく、バレンタインの市場なので一緒に添えて送るプレゼントなんかも入っているんだろうとは思うものの、思っていたよりずっと大きい!
アメリカで暮らしていたバレンタインとの比較からすると、日本のバレンタインはチョコ、としてギフトを送るというイベントに特化している特徴があります。アメリカでは、誕生日やアニバーサリーを祝うのと同じようにチョコもあるけど、どちらかというと素敵ディナーと素敵ローズと一緒にドレスアップして楽しむという体験イベント方式という特徴があります。これ、別にどっちでもいいんですけど、アメリカのバレンタインのイベントの中ではチョコは一部分でしかないのです。そのせいか、なんかチョコのクオリティはあまり気にしていない面が。ロマンチックなオケージョンにキラキラと取り出すことが大事なので、パッケージがハート型とかラメいっぱいの箱とか重要なんですが。中身はいつものチョコ。Artisanのチョコも人気ですが、パッケージ地味めだったりすると、こういうときの役割を上手に果たしてくれません。わかりやすく、ロマンチックでないと!インスタ映えするためにはドレスアップした女性がハート型のパッケージを手にしていないといけないわけです。わかりやすく、遠目から見てもバレンタインディナーに行った写真ってわからないといけない。いいね!を押してもらえないですからね。
いや、そこに比べると日本のチョコは贈り物として、それ自体がメッセージの役割を持っているので、これ、責任重大なチョコなんですよね。他の素敵ローズとかドレスアップ無しで、チョコ一本で戦うわけですから。しかも戦う相手は男性なので、ハート型のパッケージにも入ってますが、そこあんまり重要じゃない。キラキラのラメ箱であることはあまり戦闘力を上げない。男子ハートのパッケージを持ってインスタとか上げますかね?あげるのか?どちらかというと、他の男子たちに語りたい。オレがどんなすごいチョコを貰ったかを。すごい手作りしてくれた、もしくは高山に咲く魔法の花を摘みに行くかのごとく労力をかけて手に入れてくれたチョコを貰ったのだと。つまり、うんちく垂れる男子たちにも、一石を投じるような戦闘力の高いチョコでないといけない。
そう、重要なのは味であり、そのチョコの出自なんです。そのおかげか何かわからないんですが、この時期、パリやイタリアまで行かなくても、日本に入れば世界各国のプレミアブランドのチョコが手に入るじゃないですか!パティシエは有名な何某氏で、星がいくつでどうのこうの、というチョコが東京では手に入るんですよ!製法がどうのこうの、特別なカカオと、ナッツがどうのこの。生産は日本のものでも、カカオ豆は文字通り地球上あらゆるところからやってくる。インドネシアやらケニアやら、なになに?そんなところにもこんなところからもカカオがやってきて、東京の店頭に並んでいる。
世界中から特別なチョコ達が東京をめがけてやってくるなんて素敵すぎるじゃないですか!と思い始めたら、バレンタインはわくわくする季節になってきました。
ま、チョコおいしいし。うまうま。