見出し画像

妹子の映画喫茶2『ブルータリスト』2024年米英ハンガリー映画

 『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディが、生まれ持った「八の字眉毛」の本領を、遺憾なく発揮している作品。しかしこの映画、アカデミー賞候補に挙がるほどのものか? 私にはかなり疑問が残る。(2025年2月4日、アメリカの劇場で)
 

説明不足?

 アメリカで見たので当然字幕もなく、私が理解した英語は全体の3割程度という面目ない状況。よって偉いことは言えない。それにしてもちょっと説明不足ではないか。
 というのは、一緒に見たアメリカ人も同じことを言っていたから、そう思うのである。彼は年に100本以上は映画を見るそうだし、アカデミー賞候補もなるべく映画館で見る人物。
 「小さな映画会社が作る作品には、充分な説明をせず、解釈を客に任せる部分が多かったりする。論理的に考えることが好きな僕は苦手なんだ。とにかく、この映画には語られないところが多すぎるよ!」
 と、ぶつくさ言っていた。私が「意味不明…」と思ったのは、英語が意味不明だったせいだけでなく、実は、英語話者にも不明だったということが判明したわけだ。(ホッとしたぜ)

「すっきりしない…」から仰天の展開へ

 まず、だ。主人公ラースローと妻の関係性がよくわからない。「え? 2人で、あんだけ長いこと情愛深く文通してたのに、その程度?」みたいな肩すかし感がある。ラースローは性的不能者なのか? そこも曖昧。妻の病気や病状も曖昧。更にその妻を介護する姪の性格や、存在の意味もすっきりしない。「この姪が主役なのか?」的な演出が散見されたりる。
 もっとよくわからないのは、ラースローのパトロンとなった実業家ハリソン。「えっ!いつからそんなことに?」という仰天の展開が後半待ち受けているのだ。まあ、ドッキリはドッキリで、或る意味面白かったが、だったらハリソンの人物描写がお粗末じゃないのかとも思ってしまう。
 日本公開は2月21日からだそうだから、日本での反応が楽しみなところだが、一言予告しておきたい。セックスシーンだ。予告なしに、「ギョギョッ」とする性描写が2~3か所ほど出てくる。堪えられないほど長くはないが、ここは日本でどう公開されるのか。モザイクなどかかるのか?
 また、日本語字幕がどう翻訳されているのかも注意したい点だ。意味があいまいな箇所を、翻訳者が意訳するみたいなところはあるのか?(映画翻訳には無案内なのでご容赦を)

 以上が私の感想。意味不明点を確認するため、もう一度見るべきかとも思うが、215分の作品では困難だろう(『シンゴジラ』は、劇場で5回観たけどね)。
 それなのに、英語のサイトにも、日本語のサイトにも、「長さを感じさせない超大作!」という好意的な評価が多い。なぜなんだ! 

「ブルータリスト」情報サイト


いいなと思ったら応援しよう!