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salt_5
晴れ間
空港の脇の直線道路を、雲に向かって走る。
今年は雪がまだ少なくて、乾いた路面に思い切りアクセルを踏み込める。
昨日、友人の夫君の訃報を聞いた。
家呑みに何度もお邪魔しては、単身赴任のお土産だと、馬刺しをご馳走になった。
当方の前の職場に、ふらっと顔を出してくれたりもした。
少し気が弱いが、優しく穏やかな人だった。
毎年恒例の、夫婦連名の年賀状を出した後、急に倒れたというのが未だに信じられない。
穏やかな顔だったというのが、ご家族にもこちらにも救いである。
この道をこのままずっとずっと往けば、彼が長年勤めた職場に着く。
それよりも先に、雲の陰から彼が覗いていそうな気がする、冬の晴れ間。
延命措置をどうするか問われた、じわじわと余命を消費している義母の年まで、あと二十五年。
余命など思うべくもなく、突然空に昇った彼の年まで、あと十年。
もう一秒も、無駄にはできないと、強く思う。
二つの命を突きつけられ、己の来し方を考えさせられた1日だった。
もちろん、あの世とやらに往ったら往ったで、
呑み仲間が待ちかまえているのだから、忙しくなるのはわかっているのだけれど。
馬刺し、用意しといてね!たまちゃん。
☆ヘッダー写真、お借りしました。いつもありがとうございます!