あだな
知人の職場に、彼が「鳥インフル」と呼ぶ上司がいらっしゃる。
鳥がつく苗字の方で、先日うっかり風邪を引いただけである。
その鳥インフル氏が、発注をやらかした。
普段5個くらいしか注文しない商品が、86個も来てしまったという。
彼の名は、鳥インフル改め「ハチロク」になった。
この先、手が滑って発注をミスった時は、「ドリフト発注」と呼ぶことになったらしい。
(読者の方々は、イニシャルDはおわかりになるのだろうか)
当方の職場は、先日人事異動があった。
熊似犬好き上司が居なくなり、代わりに眼鏡の細身の男性が着任した。
息子のような年だった熊とは違い、当方の少し下くらいの、立派なオトナである。
前の勤務先がどんな空気感だったのかは知らないが、ここが犬だの猫だのが闊歩する、ゆる〜い店なのは伝わったらしい。
「僕は犬派です」と、謎の自己紹介をされた。
彼はこの先、おばちゃん方から何と呼ばれるようになるのだろう。
当方、生まれてこの方、可愛らしい渾名を頂戴したことがない。
未だに、「芋さん」「芋ちゃん」もしくは「けんちゃん」と呼ばれている。名前がそのままのタイプである。
渾名はいじめの元になるのだと、最近は教育されるらしい。
それは確かにそういう場面もあるだろう。
しかし、渾名や愛称で育ってきてしまった昭和の芋は、禁止と聞くと、尻がムズムズする。
手を切るといけないから包丁に触らせないのではなくて、使い方を教え、間違っていたら正すもんじゃないのかい?
そのうち、辞書から「渾名」は消え、昔あった文化になるのか。もうなっているのか。
とあるnoterさんに、「当方殿!」と呼ばれている。
「芋けんしー」に付けてもらった、初めての渾名である。
noteを書き始めるにあたり、性別不詳にしていたため、一人称に非常に迷った。
考えた挙げ句の苦肉の「当方」が、誰か一人にでも刺さったのなら、少し嬉しい。
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