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ピンクの象

「芋さん、電話〜」
「?」
「H先生から」

( ゚∀゚)・∵. グハッ!!


急に、社内研修会の講師(をしているかなり偉い上司)から名指しで電話が来た。

直にお会いしたのは、2年前に一度だけ。
その後はZOOM研修会でしかお顔を見ない。
ほぼ片思い(?)である。

対面でも20人、ZOOMなら100人以上が受講する研修会。
当方の名など、覚えるわけがない。

え、ちょっ……まっ…………

異世界居酒屋のぶ

と、聞く暇もなく、猫好き上司は社内携帯を押し付けてきた。

「お……、お電話かわりました。芋けんしーです」

ガクガクブルブル((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

「あ、お疲れ様〜。芋さんさぁ、先日の研修会のアンケート、何書いたか覚えてる?」

Σ(゚Д゚)ナヌ?

「モモモモモモモ申し訳ありません覚えておりません(早口)」

「『怖くなりました』って書いてあるの。どうしたかと思ってさ」


ん?

ピコーン💡

「申し訳ありません!研修会のおかげで知識が増え、接客が怖くなくなりました、と書いたつもりでおりまs」
「あ!ホントだごめーん!僕の読み間違いだわ」

(T_T)カンベンシテクレ

先生の電話は、終わらなかった。

「芋さんさぁ、言葉って怖いよね。ネガティブな言葉や否定形の言葉の力って、強いのよ」

「………はい」
「緊張しないでねって新人さんに言うとね、逆に緊張しちゃうの」
「リラックスしてね、と言うべきなんですね」
「そう!」

慌てるなと言われれば、余計に慌てる。
ゆっくりでいいよ、と言えばいいのだろう。

先生は続けた。

「ピンクの象をね」
「🐘?はい」

「想像しないで」

「………」
「しちゃったでしょ」
「(;^ω^)しますた(笑)」

一度口に出したものを、取り消すのは大変なのだ。
書いたものは、一応消すことができる。
人の記憶までは、操作できない。

「次回は、接客が楽しみになりました、と書きます」

先生は、笑って電話を切った。


日々、たくさんの人に教えられて生きている。


H先生。
ありがとうございます。
またの研修会、楽しみにしております。



できれば、ピークタイムの電話はご勘弁ください。
(;^ω^)


☆ヘッダー写真、お借りしました。ありがとうございます。

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